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悪役転生  作者: こすもす
22/30

悪役転生第22話 方針


「人間を原料にして鎧を作ります。

それがグラディオ様の魔法です。」


脳が受け取りを拒否するような情報。


正直これ以上は聞きたくないが、

世界を変える上で避けては通れない。


そんな気がした。


「罪のない人を誘拐してまで、鎧を作る理由は何?」


「国を守るためです。」


ノエラは眉をひそめる。


「黒金から?」


「いえ。当初はそうした意図もありましたが、

今は元雷に対抗する兵器として

生産しています。」


・・・元雷か。


以前ノエラから聞いた、この国と対立する軍事国家。


この話が事実なら、

本当に戦争が起こるのかもしれない。


そちらも調べたい所だが、

まずは鎧生産の全貌を把握しなければ。


「その口ぶり、最近始めた計画ではないよね?

始めたのはいつ?」


「約三年前からです。」


「そんな前から村の襲撃や誘拐を?」


「いえ、それは去年から始めたことです。」


去年? 去年と言えば、確か―


「グラディオが白騎士になった頃か。」


「はい。最初は罪人や奴隷を鎧にしていましたが、

それでは不十分でした。」


「は?  不十分?」


レオナが疑問符をぶつける。

苛立ちを隠そうともせず、ハルスに詰め寄る。


「はい。罪人は増やせません。奴隷も、

特に他国の奴隷は、輸入を増やせば

元雷に勘付かれる恐れがあります。」


「そんな折でした。先代魔王が討たれたのは。」


「?  魔王が消えたから、

地方民を襲うようになったの?」


「はい。当時から、黒金が地方のどこかを

拠点にしていることは分かっていました。」


「地方民の誘拐を目撃され、延いては

鎧の存在を知られないためにも、

迂闊に手を出すことはできませんでした。」


「ですが魔王が倒され、

黒金が大きく弱体化したことで、

晴れて地方にも進出できたというわけです。」


洗脳状態にある彼は、何の感情も抱かず、

ただ聞かれたことに答えているに過ぎない。


筈なのだが、気のせいだろうか?


彼の口ぶりはどうにも―


「進出って、随分誇らしげに言うんだね。」


「誇らしいことです。今まで手が出せなかった

資源にありつけたのですから。」


資源。その言葉にレオナが反応する。


拳を握り締め、その手を小刻みに震わせる。


手には血管が浮かび、

彼女の怒りがひしひしと伝わる。


「資源、か。君たちは、地方の人々を

そう見ているんだね。」


「はい。国防に有用な資源です。」


「資源は使ってこそ意味がある。」


「その身が国の盾となり、矛となり、

それが彼らの誇りにもなる。」


「王国にとっても彼らにとっても、大変喜ばしい―」


「レオナ、頼むから一旦止まってくれ。」


今にも飛び掛かろうとするレオナ。


僕が腕で制止し、ノエラもしがみついているが、

それでも抑えるのは難しい。


「放して魔王様、ノエラも。

良いでしょ? 一発くらい。」


「今はダメ。その状態で殴れば、彼は多分死ぬ。」


「そんなヘマしないわよ。私のこと舐めてんの?」


「どう見たって冷静じゃないから言ってるの!」


「・・・うるさい。」


「レオナ。」


少し深呼吸をした後、レオナの顔を見て続ける。


「聞いて、レオナ。尋問が終了次第、

魔法を吸収して彼は幽閉する。多分、ずっと。」


「報いは受けさせる。だから、

君が今手を汚す必要はない。」


「そ、そうよ。今のあなたの姿、

メイちゃんには見せられないでしょ?」


レオナの体から力が抜ける。


矛を収めてくれたようで、ひとまずは安心。


その後も僕たちは、

他の白騎士や鎧の詳細についての尋問を続けた。


一般兵の白兵卒、そしてそれらを

五十体、百体と合体させることで生まれる、

上位個体の銀属と金伯。


他にも「紅之衛(このえ)」や「蒼大(そうだい)」といった

特殊個体もいるようだが、

詳細はハルスも知らなかった。




■ 「・・・何とも、おぞましい話ですね。」


ハルスへの尋問から一週間。


この日は回復したゼインへの情報共有、及び

今後の方針確認を行うこととなった。


「あの、魔王様。例のハルスと言う

洗脳した国英についてですが・・・」


「魔法も優れていますし、

密偵として利用することはできないのでしょうか?」


レオナがゼインを睨み、ノエラは冷や汗をかく。


ゼインもしまったと言わんばかりに焦る。


まあそう思うのも無理はないが。


「無理だね。残念ながら蒼毒は万能ではない。」


「情報を聞き出すことはできても、

複雑な命令を実行させたり、

それこそ遠隔操作で操ったりはできないんだ。」


まあ、仮にできたとしても、

実行する上でのリスクもある。


レオナたちの心情もあるし、

やはり優先すべきはこっちだ。


「皆、情報共有も済んだところで、

そろそろ本題に入らせてもらうね。」


「皆のおかげで借金も完済し、

仲間も増やすことができた。」


「ようやく、対国英に向けての

基盤を整えることができた。」


「これらに関しては、

やはりレオナの活躍が大きいですよね。」


「別に褒めなくてもいいわよ、ゼイン。

やれることをやっただけだし。」


「いや、すごいことだよ、レオナ。

各地での魔獣の討伐も頑張ってくれた。」


「おかげで、僕も進化することができる。」


「進化ですか!? それって、

以前説明して下さった、あの―」


「そうだよ、ノエラ。

国英四人の良質な魔力も良いけど、

やはり魔獣で量を稼げたのは大きい。」


「進化が完了したら、

まずはここにいる三人に眷属になってもらう。」


「「「眷属?」」」


三人が揃って疑問符を浮かべる。


「うん。前にも話したと思うけど、

僕は進化するたびに新しい能力が解禁され、

最終的に八つの能力を使えるようになる。」


「フェーズ2で解禁される能力の一つが眷属化。

魔力を込めた触手を相手に与えることで、

その相手を眷属にできる。」


三人とも首をかしげている。


まあ、急に眷属と言われても実感は湧かないか。


「あの、魔王様。」


「どうした?  ノエラ。」


「眷属になると、具体的に何が変わるのでしょうか?」


「良い質問だね。大きく分けて二つある。」


「一つは僕とのシンクロ。

僕が魔力を吸収して強くなればなる程、

眷属たちも同様に成長する。」


「二つ、こっちの方が重要だからよく聞いてね。」


「眷属には、

新たに二つ目の魔法が付与されるんだ。」


皆一様に言葉を失っている。


ゼインは口を開けてポカンとしているし、

ノエラも目を皿にしている。


レオナに関しては笑みを浮かべており、

笑うしかない、と言った所だろうか。


「無理にとは言わない。」


「それにどんな魔法が付与されるかは本人次第だし、

人によっては、

既存の魔法が進化するだけかもしれない。」


「いや、それでも十分すごいわよ。」


「流石、魔王様ですね。」


「あなたが味方で本当に良かった。」


予想以上に驚いたようだが、納得してくれて何より。


「では、僕が進化次第、ここにいる皆と、

可能ならメイやレンも眷属にする。」


「力を蓄えた後、

皆でグラディオを倒して鎧計画を止める。」


「それでいいかな?」


「はい。」

「ええ。」

「分かりました。」


皆の目にも闘志が宿る。


こうして皆との方針確認、一致団結ができた。


狙うは国英最高位の一角、白騎士グラディオ。


僕たちの本当の戦いが、今始まる。

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