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悪役転生  作者: こすもす
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悪役転生第15話 共闘


「借りを返させて、魔王様。」


レオナ、味方となった彼女が手を差し伸べてくれた。


僕が手を取ると、

彼女は何かに気付いたようなそぶりを見せる。


そして、


「え?」


僕の手を放した。驚きと共に尻もちをつく。

だが直後、


キィィィィィィィン―


剣と爪の交わる音がする。


銀鎧の一撃を、レオナが爪で受け止めていた。


僕の手を放したのは、銀鎧の攻撃を防ぐため。


嫌われたわけじゃないと分かって一安心?

なんて言ってる場合ではない。


レオナは剣を押しのけると、

その場で鋭く体を回転させ、

銀鎧の顔に強烈な蹴りを入れた。


跳び後ろ回し蹴り。

あまりの美しさに思わず見惚れる。


銀鎧は大きく後ろへ飛び、背中から地面に沈む。

人間ならしばらくは起き上がれない。


だが相手は、鎧そのもの。


打撃も衝撃も有効打にならない―


それでも毒は別。


腕の刃を首の付け根に食い込ませ、

その傷に紫毒を流し込む。


金属の溶ける音と煙を出しながら、

銀鎧は刃を外さんと必死にもがく。


白い鎧とは明らかに別物。

毒が効かない可能性もあった。


だが、白い鎧に比べて効きが弱いだけで

無効ではない。


そして何より、ここまで抵抗する以上、

頭部が弱点なのだろう。


首はその付け根。

破壊され、頭が落ちることを嫌がっている。


毒の注入が止まらず、銀鎧が膝を―


つかなかった。

毒を流し込まれたまま、居合の構えを見せる。


正直、この状態で反撃に出るとは思わなかった。


感覚も思考も人とは違う鎧を、

僕は人と同じ物差しで測ってしまった。


判断ミスによる後悔。そして高速移動への恐怖。

一瞬身体がすくみ、防御が遅れる。


目の前に銀鎧の剣が―


来ることはなかった。


レオナの咄嗟のドロップキックが、

銀鎧の攻撃を妨害したからだ。


はずみで食い込んだ刃は外れるも、

再び斬られることはなかった。


「アンタ何してんの?」


しかし胸倉を掴まれた。


「ちょっと油断しすぎ。助けてもらった立場で

言いたくないけど・・・もっと気を引き締めないと、

死ぬわよ。」


思いがけない説教に心が沈む。


「・・・申し訳ない。言い訳でしかないけれど、

喧嘩とかの経験は全然なくてね。」


「実戦も数える程しかやっていない。

正直、戦い慣れてはいないんだ・・・」


理由も添えて謝ると、

腑に落ちたのか手を放してくれた。


そして、


「そうなの?  じゃ、終わったらお礼に

鍛えてあげる!」


銀鎧に注意を向けつつも、快活にそう答えてくれた。


「良いのかい?」


「私くらいじゃなきゃ訓練にならないでしょ?」


「仲間内じゃ、魔王“様”に本気は出せない。

それじゃ意味ないわよ。」


「確かに・・・分かった。後でお世話になるよ。」


話を終え、銀鎧に目を向ける。


今まさに立ち上がったらしい。


首筋から煙が沸き立ち、

それ以上に金属が溶ける音も聞こえる。


内部にも侵食しているのだろう。


毒が予想以上に効いている。


ならチャンスだ。


「レオナ、作戦がある。

まずこれを耳に付けてくれ。」


そう小声で伝え、小さな蛇の形にした触手を手渡す。


「・・・何、これ?」


「インカム、じゃなくて・・・」


「まぁ、これを付けると僕の声が君にだけ聞こえる。

それだけ分かってくれれば良い。」


「噓でしょ? こんな小さいので声が・・・

耳元で話してるって感じになるの?」


「大体そんな感じ。」


「・・・なんかすごいわね、アンタの魔法。」


「ありがとう。相手はこっちの言葉も

理解できるかもしれない。

だから、詳しくはそれ越しで伝える。 」


「分かったわ。一緒にやりましょう。」


レオナは蛇型の通信機を耳に付け、僕の作戦を聞く。


そして、一直線に銀鎧めがけて突撃した。


銀鎧は爪を剣で受ける。


居合の構えを見せてはいたが、

踏み込みはレオナの方が速かった。


そこに触手。鎧を溶かす毒が手を伸ばす。


レオナの攻勢で隙をつくり、そこに触手を差し込む。


相手は、高速移動を持つ鎧。


速度を捌けるが有効打のないレオナと、

有効打はあるが速度に対応できない僕。


シンプル、故に崩れにくい連携。

最初の作戦としては調度いい。


で、だ。

この作戦銀鎧はどう思う?


どう思考する?


1 対2、片方ずつ倒そうとするはず。

ならどちらを狙うか?


合理的に考えるなら―


まず(どく)を潰す。


レオナを払い除け、

その一瞬の隙に高速移動で僕を斬る。


そうすればこちら側には有効打がなくなり、

少なくとも銀鎧が負ける可能性はほぼなくなる。


しばらく連携攻撃をしていると、銀鎧が動いた。

レオナの蹴りで後ろにとぶ。


だが退がりつつも、空中で居合の構えを取る。


そして地に足がついた瞬間―


剣の一閃がレオナを襲う。

本命の前に、邪魔者を倒したかったのだろう。


だがレオナは跳び上がって回避。剣は空を切った。


次は案の定、銀鎧は僕の方を向き、

再び居合の構えを見せる。


僕は両腕の刃を構える。


だが、銀鎧の方が速かった―


バァァン!


銀鎧の動きが止まる。


一歩踏み出しただけでその場を動けず、

剣も振り切れないでいる。


空気の壁。


眼前の見えない障壁に、銀鎧は気が付かなかった。


そして背後にはレオナ。


飛び掛かる彼女の手には、白い鎧の剣がある。


これが僕たちの作戦。


毒を警戒させ、僕に斬りかかった隙をレオナが斬る。


当然狙いは首。僕のつくった弱点。


本命を僕だと誤認させ、

本当の本命が僕のつくった急所を突く。


これこそ―


「共闘。合体じゃないよ、鎧君。」


僕の言葉を聞いた直後に、銀鎧の頭が落ちた。

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