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悪役転生  作者: こすもす
14/24

悪役転生第14話 合体


鎧には紫毒(しどく)が効いた。


金属に対しての溶解性は想像以上だった。


このまま数に物を言わせて向かってくるだけなら

楽に倒せる。


そう思っていた・・・


突然、鎧たちが左右に動いた。


妙なことに左には二十体ほどしかおらず、

残りは全て右に移動している。


包囲や挟み撃ちではない。


主に右を警戒していると、

意外なことに左のみが襲ってきた。


正直どういう戦術か分からないが、

とにかく左を迎撃する。


両腕の刃と、背中の触手もうねらせて

鎧を切り刻む。


急いで倒した後、一時的にとはいえ

背を向けてしまった大軍に目を向けると、

なんと彼らは背を向けて走っていた。


囮を使って逃げるつもりか?  


何にせよ逃がしはしない。


足裏から、背中からも触手を出して 

地面に突き立てる。


刃は出さず、ただ力だけを加えて地面を踏みしめ、

そして飛び出す。


鎧たちに追いつき、頭上に位置した状態で

両腕を振り下ろす。


次の瞬間、鎧たち全ての体が溶けた。

だが毒によるものではない。


全ての鎧が自ら体を液化させ、

僕の一撃を回避した。


そのまま鎧たちは四方に散った。


それもただ僕から離れるのではなく、

近くの液体同士で、

互いに溶け合いながら移動している。


僕は焦りを覚えた。


もしあれが合体なら・・・強くなる前に叩く。


目に入った液体を触手で斬る。

案の定、切断はできない。


だが考えがあった。


鎧は、まず間違いなく金属製。


だとすれば、今の状態はいわゆる

液体金属に近いはず。


予想が正しければ―


思わずほほが緩む。期待通りの結果が出た。


ポクゥ・・・プクプク・・・ブクブクブクブク―


毒に侵された液体は、

まるで意識を持ったかのように泡立ち、

異様な音を響かせながら蠢く。


苦しみ、のたうち回るかのような液体の動きは 

次第に大きくなり、

そして―


パチャ  ジュュュュュュュ―


何かが潰えたかのように動きは止まり、

溶けたまま動かなくなった。


これなら、鎧が何かする前に倒すことができる。


他の液体は―


上から剣が振り下ろされた。


両腕で受け止めたが、先程より

威力が上がっている。


体勢を立て直して周囲を見回すと、

液化から戻った鎧たちに包囲されていた。


さっきの威力から考えるに、

合体して性能を上げたのだろう。


だが、思っていたほどではない。


加えて鎧は十数体と、合体した割には数が多い。


半端な数で合体したのか?


確かに液化した無防備な状態で

やられることを考えれば、

うかうか合体してられないだろうが。


強くなった鎧が向かってくる。


包囲されたままでは危険なので、 

触手を使って上へ逃げ、空中に足場を作った。


ヒルデ戦でも使った吸収能力の応用。


空気を固め、防御壁や足場を作る。


上をとった僕は、一方的に鎧たちを攻撃した。

とは言え、中々鎧たちを斬れない。


動きが良くなっており、剣で触手が弾かれる。


そこで作戦を変えた。


触手攻撃をしつつ、鎧たちの動きを観察。


動きが比較的鈍い、つまり合体数が

少ないであろう鎧から順に狙いを定め、

両腕の刃で仕留める。


これを繰り返すことで鎧の数が減り、

一体あたりへの触手の数が増え、

相手の隙も多くなる。


これなら、合体数の多い鎧であっても

仕留めやすくなる。


そうして無事、最後の一体も仕留めることが

できた。


ようやく一息―


「アッ・・・アア!?」


背中に衝撃が走り、呼吸も途切れ途切れになる。


だがそれ以上に、何が起こったのか分からない。


体の苦しみと未知への恐怖に震えながら、

僕は地に落ちた。


「カハッ! ハァ、ハァ、ハァ―」


落下の衝撃のおかげか、何とか呼吸は取り戻した。


そしてダイヤモンドの体のおかげで、

背中も含めて怪我はなかった。


だが振り向いた時、

僕は衝撃の原因に目を奪われた。


鎧。だが明らかに今までの個体とは違う。


銀色の鎧だった。


眩しくなるような光こそないが、

引き締まった輝きとも言うべき、

威厳のある銀色。


しかし見とれている場合ではない。


どういう訳かあの銀鎧は、空中にいた僕を斬り、

地面に叩き落とした。


恐らくは白い鎧の進化系。

しかも単に強いだけじゃない。


さっき白い鎧たちが合体を中断してまで

襲ってきたのは、

これをつくるための時間稼ぎ?


だとすれば、尚更何かある。


そう考えていると、銀鎧は剣を横に構えた。


居合切りのような構えを見せた直後、

銀鎧の姿が一瞬で目の前から消え―


気が付くと、眼前に刃が迫っていた。


高速移動? さっきもこれで―


いや今は考えている場合じゃない。 

早く防御を―


鎧の動きがスローモーションで見える。


刻一刻と刃が迫っている。


意識はある。見えてもいる。


それでも、体が動かない。


ダメージ故か、焦り故か。


この時初めて、体が思考に追い付かなくなった―


ガンッ!!


それは、剣が僕の頭を斬る音ではなかった。


衝撃とともに刃の軌道が逸れ、

銀鎧の身体が吹き飛ばされた。


急に剣が遠くなり、

僕の顔にかすることすらなかった。


宙に浮かんだ銀鎧の体は、土を潰すようにして

叩きつけられる。


顔を上げると、そこには迷いを捨て、

覚悟を決めたリーダーがいた。


「借りを返させて、魔王様。」


未来の仲間。


レオナは今、僕の味方になってくれた。


差し出されたその手を、迷いなく僕は掴んだ。


その手の温かさを、確かな現実として感じながら。

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