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二話 : 消滅と月陰



#____数日後


[ 陽光様、たっ…大変でございます!! ]

『 六庵…朝から何だ… 』


眠たい目を擦り、襖を大袈裟に開けた者の方を見る。

そこには自分の従者が立っていた。



『 そんなに慌ててどうした…

落ち着いて一から話してみろ… 』

[ そっ、それが… ]


何の気無しに聞いた自分がうつけ者だった。

彼の放つ言葉に反応して

自分の身体が、削られる音がした。



[ …月夜の姫様のお屋敷が

跡形も無く、燃えてしまったのでございます… ]

『 魅夜の屋敷が…?

そっ…そんなの嘘だよな…? 』

[ っ… ]


バチが悪そうに下を向く六庵。

この表情で、全てを悟った。



『 …そんなの 』

[ …光丸様? ]

『 絶対に"嘘に決ま"っている!!

必ず魅夜はいるん"だ! 』


この事実を受け止めたくなくて

魅夜が居なくなってしまったかもしれないという事実を受け止めたくなくて。

顔を醜く歪ませながら、急いで彼女の家へと向かった。



『 そん…な…

此処が本当に彼女の家なのか…? 』


自分が目にした光景は、あまり表現したくない物だった。

焦げてしまった柱。

恐らく高価な物であっただろう、焦げてしまった衣。

そして…


彼処此方に横たわる、無数の亡骸。



[ …月夜の姫様と、その他数名の方は亡骸がうかが

えなかったそうです ]

『 えっ…?

それはつまり… 』

[ 恐らく、考えられる可能性としては

この事態に紛れて何処かへ逃げたのか

…亡骸と分からぬ程、萌えてしまったかの

二択でございます ]

『 そんな… 』


何処かへ逃げたとしても、きっと何処かで野垂れ死んでしまうだろう。

この世の中とは皮肉にも、権力を持たなくなった者

を匿う人々の方が少ない。

それに、この辺りは山ばかりだ。

つまり…生きていたとしても、彼女の辿る道は…










…あれから何年か経った。


太陽の神と言われていた俺は今、月の陰様と呼ばれる様になってしまった。

何でも、周りの女官達が

[ 月の様に凛とした笑顔を向けてくださるのよ ]

何て言い出した事が事の発端のようだ。


…正直、あまり気乗りはしない。

月、という単語を聞くと

あの頃を思い出し、いささか悲しい気持ちになってしまうからだ。


そんな俺は元服して、 月華 ( ゲッ カ ) という名を授かった。

そして今日からとある武将の補佐になる…らしい。

何でも、男のくせに、背丈は低いんだとか。




「 ーー、ーい 」

『 … 』


…やはり、今になっても魅夜の安否を気にしてしまう。

彼女はちゃんと生きているのだろうか?

生きていたとして、ちゃんと飯は食っているのだろうか?

…いや、この乳母の様な悩みは何なんだ。



「 おい、聞こえているのか? 」

『 …っあ? 』


そんな風に考えていると、目の前に俺より三寸程背の低い、凛とした若者が立っていた。


「 お前が噂の 堂崎 月華 ( ト ウ サ キ ゲッ カ ) だな 」

『 …失礼仕りますが、貴方は…? 』

「 麻呂は佐藤 陽宫 ( サ ト ウ ハ ル ミ ヤ ) だ

一応、今日からお前が補佐する武将なんだがな? 」


鼻でフッと笑った後、意地悪そうに此方を見てくる瞳。

特徴的な紅水晶の様な瞳だが、この世界では稀に見るのであえて指摘はしない。

一応俺の主となる訳だが、正直小生意気で腹が立つ。



「 …さてと

覚えてもらいたい事は山ほどあるが、

まず最初は麻呂に同行してもらおうかっ 」


最近見かけるようになった 麻 呂 という一人称を使う俺の主は、そう手短に述べて軽く微笑んだ後、宮中を歩きだす。


…一応、今日元服したばかりの身。

疲れもある故、あまり連れ回さないで欲しいのだが。



『 構いませんが…

一体何処へ行かれるおつもりですか? 』


流石に野蛮な所へ連れて行かれては困る。

そう思い、ふと尋ねると、思いがけない返答が返ってきた。



『 今から行く場所は…

姫達の待つ、宴の場だ 』

一回データ吹っ飛んで、泣くかと思ったお話です。


あと、本来なら役職名何かで互いを呼んだりしますが

そんな事やってたらややこしくなりそうなので、呼び名や名前でごり押させて貰います。


例 ) 月下の右大将 → 堂崎 月華・月陰の君 等

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