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あーかい部! 55話 背負い投げ

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「きはだ〜、今日ひいろ来れない




あさぎが部室のドアを開けると




「うんうんやっぱり押し倒そう。」

「押し……ええ!?///」




そこは恋愛相談所だった。




「…………失礼しました。」




あさぎは開けていたドアをそっと閉じた。




「……スゥ、ハァ……。よし!」




きはだに恋愛相談なんて、きっと何かの見間違いだろう。呼吸を整えてもう一度


と思ったら中からドアが開けられた。




「何度見たって変わんないよぉ?」


「あ……きはだ。」




あさぎ入室。




「あっ、サングラスの……!」


「サングラス?」


「この前、みんなで猫カフェ行ったでしょ〜?」


「あ〜。4人ともサングラスだったか……。」




きはだに恋愛相談をしていたのは、前に白ちゃんを交えて4人で行った猫カフェにいた子……改め、保健室でひいろに手当して貰っていた子(先輩)だった。




「はっ!?すみません……。」


「ああいや、大丈夫です。寧ろ不審者がゾロゾロと押し寄せてしまってすみせん///」


「反省しろぉ?」


「きはだも含まれてるんだよ……!」


「フフ♪面白い方々ですね。」


「いえ、それ程でも……///確か名前は、


鶸田(ひわだ)みどりです。こうして、ちゃんとお話しするのは初めてですね。」


「青野あさぎです。……ちょっと失礼。」


「?」




あさぎはきはだを廊下に連れ出した。




「で、これどういうこと?」


「どういうことって、鶸田先輩の恋愛相談に乗ってるだけだよぉ?」


「さっき『押し倒せ』とか言ってたよね……!?」


「さすればこの恋、成就するであろう……。」


「もっと過程とかさぁ……。そもそもちゃんと相談に乗ってあげないと!」


「じゃああさぎちゃんならどんなアドバイスするのぉ?」


「私なら……まずは手を握ったり、


「「ふむふむ。」」


「お昼ご飯を一緒に食べたり、


「「なるほど。」」


「2人きりの時間を作るとか?」


「いいねいいねぇ。」

「参考になります……!」


「ん?」




あさぎがきはだの後ろを見ると、きはだの背後で鶸田先輩がしゃがんでメモをとっていた。




「え"……!?」


「すみません、仲の良いお二人の会話が参考になるかもと思ったら、いてもたってもいられず……///」


「あ、はいそうですか……。」

「照れますねぃ。」




鶸田先輩はけっこう行動派。




「手を握るところまでは済ませているので、次はお昼ごはんですね!」


「え?済ませたんですか?」


「ほほぅ、これはこれは興味深いですねぇ?お差し支えなければ話して貰ってもぉ?」


「えと……///て、手を握った、といっても……///その……、手のひらをこう、指で……マッサージ、しました……//////」




「「そっかぁ〜。」」




きはだとあさぎは思わず顔面の筋肉が緩んだ。




「となると次はお昼ですが……やはり、お弁当とか


「「重い重い重い重い!?」」


「え?」


「それはもう少し段階を踏んでからにしましょう……!」

「うんうん!」


「そう、ですか?『愛妻弁当』とか、作ってもらえたら嬉しくないですか……?」


「「まだ妻じゃないからっ!?」」


「はっ!?……すみません、つい///」




((『つい』……!?))




「とりあえず2人でアシストしますんで、まずはお『昼を2人で食べる』から始めましょう……!」


「ひいろちゃん、お婆ちゃんのお弁当大好きだもんねぇ。」


「う"っ……確かに、お袋の味に勝つのは無謀ですね……。」




((勝つつもりなんだ……。))




「まあお昼は後日ってことで、

「今日は2人きりになってみよう。」


「はいっ!……ええ!?///まだ心の準備が


「今ごろ、ひいろちゃんは屋上のお掃除をしているはず……!」


「なんか最近定期的にやってるよね。」


「流石赤井さん!当番でもないのに、なんて殊勝な……!///」


「これがほんとの『色メガネ』。」


「サングラスかけてたのは私達の方だったんだけどねぇ……って失礼だな!?」


「大丈夫だよぉ、聞こえてないから。」




きはだが指差した先で、鶸田先輩は指を絡めて両手を握り、なんだかキラキラしたピンク色の空気を周囲に纏っていた。




「完全に自分の世界に入ってるなぁ……。」


「鶸田せんぱぁい?ひいろちゃんに会いにいくよぉ〜。」


「……はっ!?はいっ!」




(鶸田先輩、きはだに手綱を握られつつあるな……。)




3人で屋上へ通じる扉の前へ。




「じゃあ達者でやるんだよ?」


「今生の別れじゃないんだから……。」


「はいっ!」


「突っ込み無用かぁ。」


「ありがとうございました、黄山さん!青野さん!」


「チッチッチ。」


「きはだ?」


「そこは『きはだちゃん』だろう?いつまでも他人行儀じゃひいろちゃんとの距離も縮まりやせんぜ?」


「きはだは先輩相手に距離詰めすぎなんだよ。もう背負い投げの間合いなんだよ。」


「そう……!『一本取るには踏み込む』、あさぎちゃんも良いこと言うねぇ……!」


「なんか上手いこと受け流された。」


「柔道だけにねぇ……!!」


「『恋は背負い投げ』ですか……フフ♪やっぱり面白いですね。『きはださん』、『あさぎさん』♪」




(ちょっと変な気もするけど、まあいっか。)




「「行ってらっしゃい、みどり先輩!」」


「はいっ!」




みどり先輩は2人の声援を背に、ひいろから一本取るべく、光刺す屋上へと踏み込んだ。




このあと、ひいろを背負い投げして顔を真っ赤にし2人の元に逃げ帰って来たみどり先輩を引きずって4人で屋上の掃除をしたのはまた別のお話……。






あーかい部!(4)




あさぎ:投稿完了


ひいろ:掃除手伝ってくれてありがとうな


きはだ:ひいろちゃん、その言葉は取っておくんだ。1番欲しがっている人のために……!


ひいろ:?


あさぎ:ダメだこりゃ

きはだ:ダメだこりゃ


ひいろ:なんなんだよ……




ひいろ:それでワタシは背負い投げされたのか


あさぎ:災難だったね


きはだ:あさぎちゃんが背負い投げの間合いとか言うからぁ……


あさぎ:そこから実際に投げるなんて誰も思わないでしょ


ひいろ:とりあえず嫌われてなかったみたいで良かったよ


白ちゃん:誰も部室にいないと思ったらそんなことになってたのね


ひいろ:でもあんまり捏造してみどり先輩に迷惑かけるなよ?


きはだ:こいつ、ナチュラルに距離詰めてやがる……!?


あさぎ:おめでとうございます、『みどり先輩』……!


白ちゃん:2人ともすごい入れ込み様ね


きはだ:生で見てないからそんなこと言えるんだい


あさぎ:とりあえず生で


白ちゃん:ビールじゃないんだから


ひいろ:お酒呼ばわりは失礼だろう


あさぎ:だ〜めだこりゃ


きはだ:酒!飲まずにはいられないッ!


白ちゃん:おい未成年

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