第14話〜反撃〜
リゲルの杖に埋め込まれた宝石が、怪しく光った。すると、マーキュリーさんが呼び出した水に渦巻きが現れて、少しずつ巨大化していく。
ボクはまた目をつむってみた。
メイルシュトローム
水属性
威力……95
消費魔力……12
特殊効果……即死(5%)
おい、今、不穏な文字が見えたぞ……。
ボクは思いっきり叫んだ。
「みんな、逃げろ! 飲み込まれるぞ! この渦に飲まれると、死ぬかもしれねえ! 即死だ!」
「ゴマくん! 技の効果が分かるのか!?」
「いいから早く逃げろぉーー!!」
水の量が倍くらいに増えて、ボクの所にまであふれ出してきた。“暁闇の勇者・ゴマ”に“転身”している時は水に入っても平気ニャンだが、メンタル的には無理だ! トラウマがぶり返す!
ってことですぐさま逃げようとしたが、ボクもソールさんたちも、みんなあっという間に、波しぶきを上げながらあふれる水に飲み込まれちまった。
やめろ、溺れた記憶が……!!
メルさん、じゅじゅさん、ルナは、ずっと遠くにまで逃げているのが一瞬だけ見えた。落ち着けボク。“暁闇の勇者・ゴマ”は素早く泳げるから、溺れる心配は無えはずだ……!
クソ、まずい。大渦が唸りながら迫ってくる!
「これで、星光団も終わりだ。やれ、スピカ!」
デネブの低い声が聞こえたすぐ後、木の枝に立っているスピカが、持っている機関銃を水面に向けるのが見えた。
「へっへーん。ここにウチの【電撃銃】を撃てば、水は電気を通すさかい、一網打尽やな。あはは、ほな、行くでぇー!」
クソ! 早く母ちゃんたちを助けねえと!
「みんな、諦めるな!」
「手を握って! 水から脱出しましょう!」
「クソォ! 俺は水に弱い! 力が出ねえ!」
「無……無ーー理ーー!!」
「……諦めるんじゃないわよ」
母ちゃんたち5匹は、激しい水流にもてあそばれている――。
「発射ー!!」
スピカが叫んだ。
間に合わなかったか……母ちゃん――!
「【リフレクト・ガード】」
ビシャアアンと、近くに雷が落ちたような破裂音が聞こえた。青白い光がビカビカと点滅し、視界を覆った。
母ちゃんたちは――!
「うわ! 防がれてもうた!」
……無事だ。
ヴィーナスさんのおかげだった。
水から必死に顔を出し、金色に輝くステッキを構えたヴィーナスさんが、ステッキと同じ色の光の板を、空中に張り出している。光の板が、電撃を防いでくれたみてえだ。
大量の水が、一瞬にして消えた。
「うおっ!?」
ボクは地面に尻餅をつく。ソールさんたちも、ドサドサっと地面に落っこちた。
見ると、リゲルの杖から光が消えていた。魔力が尽きたのか? リゲルは戸惑ってるみてえだ。
「……今だ」
ボクは、リゲルとスピカに意識を向けて、もう一度目をつむってみた。
大海の星 リゲル サバトラ♂ Lv.30
魔法戦士
属性……水
体力 180/322
魔力 18/68
攻撃力 80
防御力 110
魔法攻撃力 102
魔法防御力 95
素早さ 75
耐性……火
弱点……雷
必殺技……
メイルシュトローム
暁光の星 スピカ 種別不明♀ Lv.30
狙撃手
属性……光
体力 140/220
魔力 0/0
攻撃力 75
防御力 75
魔法攻撃力 0
魔法防御力 85
素早さ 163
耐性……無し
弱点……闇
必殺技……
未習得
よしよし、少しずつステータスを見るコツをつかんできたぞ。
さあ、潰すか。もうボクは我慢ならねえ。周りを見て戦う? んな事考えてニャンか、いられねえぜ。
ボクは、“暗黒剣・ニャインライヴ”を構えた。
「よくも、舐めたマネをしてくれたニャア……!」




