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もふもふにゃんこ ゴマくんの冒険記  作者: 戸田 猫丸
第2部〜ネズミたちの住む理想郷編〜
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第42話〜ネズミのガキどもと〜


「おはよーう! 寝坊だよ、ゴマくん! それっ!」

「うぎゃあ! その起こし方やめろっつっただろ、チップ!」


 ……いい天気だ。平和だニャ、ネズミの世界の朝は……。

 この世界が、あの時のニャンバラみてえにボロボロにされて。そしてネズミたちが、ニャンバラのネコどもに食われちまうだニャンて。とても信じる事ができねえよ。


 そんなボクの思いも知らねえだろうネズミのみんなは、呑気に朝飯の支度を始めている。

 ネズミ9匹、ネコ7匹。ニャンとも賑やかだ。


「じゃあ、果物組は、チップとナッちゃんだね。八百屋のおじさんによろしくね、行ってらっしゃい。お父さんは、スープ作ってるからね」

「うん! 今日もたくさんもらってくるよ!」

「お兄ちゃん、まってぇー!」


 ボクはまだ、顔すら洗ってねえぞ。ニャのにネズミのガキどもはもう、果物をもらいに出発しようとしてやがる。


「ゴマくん、はーやーくー!」

「待て、待てってば! せめて着替えるまで待ってくれ!」


 ルナも、ユキやポコたちも、ボクより早く起きて、朝飯の支度を手伝っていた。

 クソッタレ、ボクは昨日の事でまだ頭が休まってねえってのに。あんな話聞いて、みんなよく切り替えられるよニャ……。



「じゃあ今日もいい1日にしよう。いただきまーす!」

「いただきまぁーす!」


 木の実の粉で作ったというパンをかじる。んん、美味え。焼き立てでまだあったかくて、めちゃくちゃ美味かった。

 ボクも一緒に近所のネズミのオッサンからもらってきたナシも、甘くて酸っぱくて後味もスッキリだ。普段、果物ニャンて食わねえんだが、意外と食えるもんだな。でも、食い過ぎたら腹壊しそうだ。


「ゴマくん、今日はいっぱい遊ぼうね!」


 あっという間に朝飯を食い終えたチップ。遊ぶ気満々って様子だ。

 ……昨日の話、きっとまだ理解できてねえんだろう。まあ、ガキどもは、今は知らねえ方が良さそうだ。変に怖がっちまってちゃ、ボクらまで気持ちが暗くなるからニャ。


「ああチップ、あちこち冒険するぞ。ポコ、お前も来るよな?」

「いや、遠慮しとくよ。僕、ネコ見知りだし……いや、ここじゃネズミ見知りか」


 (ニャン)だよ。折角こんニャ面白え世界に来たってのに、ポコの奴は相変わらず、腰が引けてやがる。

 そんなポコの背中に、ユキが前足を当てた。


「じゃあ、私のそばにいて。私、あまり動けないから」

「そうするーっ!」


 ユキと一緒の時だけ元気になるポコに、ボクは冷ややかな目線を送ってやった。


「ちゃんと側にいてやれよ、ポコ」

「ふん、余計なお世話だよ。ゴマも早く相手見つけろよ」

「うるせえよ。テメエこそ、余計なお世話だ」


 賑やかな朝飯の時間は終わって、それぞれ思い思いに過ごし始める。


 ニャンバラ軍が侵略してくる事については、とりあえずは母ちゃんに任せておく……って事になった。母ちゃんの仲間――おそらく“星光団(せいこうだん)”――から連絡があったらしく、まだしばらくニャンバラの奴らが攻めてくる事は無えだろうって事らしい。

 だから、今日は(ニャニ)もかも忘れて、ネズミのガキどもと一緒に遊びまくってやる。

 チップたちに、本当の冒険ってヤツを、教えてやらねえとニャ。



「チップもナナも、なかなかやるじゃねえか。こんニャ(たけ)え枝の上まで、ついてこれるニャンてニャ」

「僕ら、高い所好きなんだ! ほら、あの大きな木! 僕らの家だよ!」

「待ってようー!」


 チップ、ナナ、そして近所のネズミのガキどもも一緒に、秋の山の中で、ボクは思い切り遊び回った。

 どこまでも高く伸びる木にボクは登ったが、ネズミのガキどもは、しぶとくついてきやがる。

 ふん、ネコを舐めるニャよ。なら、この高さから鮮やかに着地を決めてやるぜ。


「おいネズミのガキども、見てな。おらよっ! ……ぐあ!?」


 だがボクは空中で体勢を崩して、地面に思いっ切り叩きつけられちまった……。


「ゴ……ゴマくん! 大丈夫!? あらら、地面にめり込んじゃった」

「けほっ、けほっ! クソ! ジャンプした時の感覚が、全然違うじゃねえか!」


 痛てて、クソったれ。この2足歩行の体のせいニャのか、ネズミサイズのせいニャのか……。いつものジャンプした時の感じが分かんねえ……。


 ボクとルナは、ネズミのガキどもと一緒に、緑いっぱいの森へ行ったり、川で水浴びしたり、そして“ヒミツキチ”と呼ばれてる洞穴で追いかけっこしたり……。

 時間を忘れて、思いっ切り体を動かした。


 

 そして夕方、帰ってきた時。


「あれ!? (ニャン)だこれは!」


 ボクは、机の上を二度見した。


「うわ! “ニャイフォン”が!」

「……あ! 僕のも……」


 (ニャン)と、机に置いてあったボクとルナの“ニャイフォン”が、バキバキにブッ壊されていた。

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