第2話〜ネコの戦士たち〜
「っ痛ぇーーーー!?!?」
痛え……痛え!!
ヒゲを引っ張っただけなのに、何でこんなに痛えんだ!!
思わず目をつむっちまった。
ジンジンと痛むヒゲをこすりつつ、再び目を開けたら――。
「……大丈夫かゴマくん! 君も早く【転身】するんだ! 敵はすぐそこまで迫ってきてるぞ!」
これまた、しま模様の地味なシャツを着た白ネコが、ボクに向かって叫んでやがる。もちろん後ろ足だけで立って。
……ったく、さっきのキジトラといい、何でボクの名前を知ってやがるんだ!
それよりも――。
いつの間にか、周りの景色がすっかり変わっちまってる。
あちこちで、火が燃えてる。どっかの平原っぽいが、やっぱりボクの知らねえ場所だ。
周りを見渡すといつの間にか、ボクらと同じぐらいの大きさの、泥で出来たような人形みたいなヤツが何匹も立ってやがる。そいつらは、踊るような気持ち悪りい動きで、ジリジリとこっちに来た。
何なんだよ、何が起きてるんだ!
ルナは無事か?
「おいルナ!」
ルナの姿がない。
「ルナ、どこだ! 返事しろ!」
どこだ、ルナはどこだ!
周りを見回している間に、さっきの白ネコが叫ぶ。
「みんな行くぞ! “転身”だ!」
「「「「応ッ!!」」」」
さっきの白ネコの周りに、どこからか、これまた後ろ足で立ってるネコどもが4匹、集まった。どんな姿なのか、影になっててよく見えねえ。
「「「「「聖なる星の光よ、我に愛の力を!」」」」」
うわッ、眩しい!
薄いピンク色の空から、お日様みてえな真っ白い光が伸びてきて、白ネコどもを包み込んだ。
眩い光を放ちながら、白ネコどもが何やら1匹ずつ、決めポーズを取ってやがる。
「天光の騎士……【ソール】!」
「望月の魔導士……【ムーン】!」
「灼焔の戦士……【マーズ】!」
「六華の忍び……【マーキュリー】!」
「啓明の癒し手……【ヴィーナス】!」
白ネコどもは1ヶ所に集まって、ビシッとポーズを決めた。
「「「「「もふネコ戦隊! 【星光団】!!」」」」」
目を凝らして見ると、白ネコは重くて頑丈そうな鎧を身につけ、片っぽの前足でスラリとした刃物を構えている。一瞬にして着替えたってのか?
他のネコどもも、丈の長え服を着て杖みてえな物を持ってたり、頭にハチマキみてえなのを巻いて水色の薄手の服を着てたり、白ネコが持ってる物以上のデカさの刃物を持ってたりする。
……ぜってえ、これは夢だ。
こんなネコ、いてたまるか。
さっさとこんな夢からおさらばしよう。
そう思った時だった。
「ゴマくんも、早く! “聖なる星の光よ、我に愛の力を”と叫ぶんだ! 君も僕たちと戦うんだ! 【クレイ・ゴーレムソルジャー】の群れを倒そう!」
白ネコが、刃物を構えながら呼びかけて来やがる。“ソール”とか名乗ってやがった奴だ。
一緒に戦うだと? この、ブキミな泥人形と?
クレイなんとかとかいう泥人形は、気付けば目の前まで迫って来てた。気持ち悪りい。目に入るだけで、毛が逆立つぜ。
ヒゲを引っ張って目を覚まそうとしたが、
「ニャアアア! やめろ! 殺す気か!!」
泥人形はボクを押し倒し、そのドロっとした両腕でボクの首元を押さえつけてきやがった!
クソ、こんなとこで死んでたまるかよ!
ええい、一か八かだ!
「せ、せいなるほしのひかりよ! われにあいのちからをおおお!?」
叫んだ瞬間だ。
紫色に輝く稲妻のような光がボクを包み込んだんだ。
気付けば、ボクは声を上げていた。
「暁闇の勇者、ゴマ!!」
うおお、体に力がみなぎる!!
考えるよりも先に、体が動いていた。
ボクは思い切りジャンプする。自分の体の何倍もの高さまで跳んだ。地平線が、霞んで見える。今まで生きてて、こんなに高く跳んだのは初めてだ。だが、不思議と、怖くなんかねえ。
前足の先がニンゲンの手のように自由に動く。気付けば、ソールとやらが持ってたのと同じようなドデカい刃物を持っていた。体には、分厚い鎧がくっついている。が、全然重くなんかねえ。
ソールとやらと、その他4匹のネコが、泥人形とやり合ってるのが目に入った。
泥人形は、何十匹、いや、何百匹も湧いて出てきて、平原を埋め尽くそうとしてやがる。
ボクはドデカい刃物の切先を、泥人形の群れに向けた。
……ボクの力で、一気に決めてやる。今のボクなら出来る気がするぜ!
行くぞ!!
「ニャアアア!!【デス・アースクエイク】!!!!」
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