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三巻(十八)

第二次西征(五)

 ゼルベルチ[・エンドラ]は謀略者たちとの約定を守り、近西州ストゥーバレ街道を北進中の西南州軍に襲いかかった。

 ここまでは謀略者たちの思惑通りに進んだが、それを(くつがえ)したのが執政官[スザレ・マウロ]の軍才であった。

 遠北州軍の到来を知ると老将は自らしんがりとなり、その攻勢をいなし、見事な撤退戦を披露してみせた。うしなった兵の数は二千に過ぎず、西南州には一万九千の兵が帰還した。

 ボレイラ街道の撤退戦において、オントニア[オルシャンドラ・ダウロン]もかなりの働きを見せたが、その武功は、執政官の武名にかき消され、みやこびとの称賛を浴びることはなかった。

 名将スザレ・マウロ健在を印象付けられたのは、第二次西征に置いて、西南州がゆいいつ得ることのできた果実であった。


 十六日、近西州軍がライリエを取り戻し、二回目の西征は終わった。

 西征において最も深い傷を負った東南州軍が領地に戻る最中、[タリストン・]グブリエラには、二つの凶報がもたらされた。

 ひとつ目は、西征の失敗を受けて、東南州で反グブリエラ派が再蜂起したこと。

 ふたつ目は、東州公[エレーニ・ゴレアーナ]が反対派を粛清し、強引にハアティムを治めるハオンセク家との間で和議を結び、州内を掌握したこと。

 州外へ攻め込んだ男が、今度は攻められる番となった。

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