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三巻(十六)

第二次西征(三)

 サレにとっての吉報がもたらされたのは、九日の昼過ぎであった。

 ウブランテサ平原からの知らせによると、東南州軍が近西州軍に敗れ、ボレイラ街道を南へ敗走中とのことであった。

「東南州軍は、両翼を広げて来た近北州軍に中央突破をかけたが押し返され、敵側による包囲が完成する寸前で撤退したとのことです」

 狭い幕舎の中、オンデルサン軍とサレ軍、両軍の主だった者たちの前で、ホアビウ[・オンデルサン]の側近が、興奮気味に戦況を伝えた。

 「それで、東南公[タリストン・グブリエラ]は?」とたずねたのはホアビウであった。

「数多の兵を失った模様ですが、公はご存命とのことです」

 グブリエラ存命の一言にオントニア[オルシャンドラ・ダウロン]が椅子を蹴り上げ、「死ねばよかったのに」と舌打ちした

 その様を見ながら、サレがホアビウに話しかけた。

「反ノテ派三千についてはどうする? 討つか、討たざるか。近づくか、離れるか」

「難しいですね。東南州軍がどれくらい逃げおおせて来るかでも、話が変わって来ます」

 二人の会話に、ゼヨジ・ボエヌが口を挟んだ。

「東南州軍敗北の一報は彼らにも届いていましょう。そこで私が出向いて、こちらの得た情報として、東南州軍健在の報を伝えましょう。東南州軍が健在ならそれでよし。そうでなくとも、時間稼ぎにはなります」

 サレはオンデルサンと視線を合わせてから、ひとつ(うなづ)いた。


 幕舎から人が出て行き、ホアビウと二人きりになったサレは、「命が半分つながった」と微笑した。

「東南公はどうしますか?」

「東南州軍がどれだけまとまって撤退できたのかと、遠北州軍次第だね。……ストゥーバレ街道の戦況次第では生かしておかないとまずい。その時は、優しく出迎えてやらねばね」

「じれったいですな。あちらでいくさがはじまった知らせぐらいは、来てもよい頃合いなのに」

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