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巻頭 ロナーテ・ハアリウの辞(一)
経緯
本書は、わたくし(※1)がホアラ候[ノルセン・サレ]に無理強いをして、「短い内乱」に関して書いてもらった回顧録である。
「短い内乱」は西征の失敗からはじまったが、候はそれに参加していただけではなく、内乱における最大のいくさであるロスビンの戦いにも一将として参陣している。
また、内乱を生き抜く中で、州馭使をはじめとした各州の貴顕の知己を得ており、彼らのひととなりにも詳しい。
そのため、わたくしは候の体験したことが書き留められれば、後世の史家に役立つだろうと考え、彼に回顧録の執筆を依頼した。
※1 わたくし
巻頭は、サレの報告書に、ロナーテ・ハアリウがつけ足したものである。