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一巻(二十二)
西征(二十二)
次にサレが目覚めたのは、温かい小屋の中であった。
サレは、自分を覗き込んでいるオントニア[オルシャンドラ・ダウロン]、ゼヨジ・ボエヌ、ポドレ・ハラグ、ロイズン・ムラエソの顔を一人ひとり確認した。
「……残りの者は?」とサレが問うと、「死んだり、逃げたり。我々だけです」とボエヌが答えた。
次に、「ここはどこだ?」と尋ねたサレに、「州境のラーゾ村だ。ここから大きな山をひとつ越えれば、西南州に出る」と、オントニアが説明した。それに対して、サレは何も返さず、ロイズンを見た。
「ここは安全なのか?」
「僥倖にも、ラーゾ村はバージェ候[ガーグ・オンデルサン]とご縁があり、西征軍に友好的でしたので、我々を受け入れてくれました」
「村に代金は?」
「半分払い済みです。女子供は近づかないようにお願いしてあります。私たちもこの小屋からはなるべく出ないようにしていました」
「それでいい。ところで、今日は何日になる?」
「晩夏[九月]の十四日です」
「大分、寝ていたな。すぐに出よう」
ムラエソがハラグを見ると、彼は首を左右に振って、主に告げた。
「お体を治してからにいたしましょう。出立は明後日の朝がよろしいかと」
「……そうか。ポドレの言に従おう」
言い終えるとサレはまた眠りについた。




