表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
124/322

四巻(三十)

都、狂い乱れて(十二)

 執政官解任と徳政令の発布に対応しつつ、サレはコステラ=デイラの防備強化に(いそ)しんだ。

 モウリシア[・カスト]の(せき)()(とう)だけではなく、西南州の正規軍、最悪の場合を想定すればバージェ候[ガーグ・オンデルサン]の軍を相手に、公女[ハランシスク・スラザーラ]と(りょく)()(とう)、それに豪商を守れるように(※1)、コステラ=デイラを一個の(よう)(さい)にしようと、昼夜を問わず、工事を進めた。


 この時点でサレは、コステラ=デイラの外に出て、青年[スザレ・マウロ]派と決戦どころか、小競り合いを起こす気もなく、ただただ、政治的な変化が起こるまで、コステラ=デイラに(こも)る腹積もりであった。

 そのため、とくに火縄[銃]で守りやすいようにと、各所の防壁を改良しつつ、ラウザドから火縄と硝石を、言い値でかき集めた。

 その頃、「塩の道」の治安が悪化していたので、塩賊退治を名目に都から緑衣党を送り出し、ラウザドから火縄と硝石をコステラ=デイラに運んだ。

 火縄と硝石の大量購入には、今の大公[スザレ・マウロ]から抗議が幾度も寄せられたが(※2)、公女のなまえを出している限り、彼が武力に応じることはないと踏んで無視し続けたが、それは正しい判断であった。


 糧秣については、先を見越して、十分な備蓄を済ませておいたが、念には念を入れて、ラウザドへ先に金を払い、この年の秋に取れる穀物を抑えた。

 金は使えるときに使っておかなければならないと考え、スラザーラ家の資産に大分手をつけた。

 さすがの公女も、報告される金の減り具合に不安を漏らしたが、「金属の塊を抱きながら、ふたりで死にたくはないでしょう」と、サレは意に介さなかった。



※1 公女[ハランシスク・スラザーラ]と緑衣党、それに豪商を守れるように

 サレの生涯を通じて非難されていることだが、彼には、立場ある者として、平民を守るという考えが欠落していた節が見受けられる。


※2 今の大公スザレ・マウロ]から抗議が幾度も寄せられたが

 サレはモウリシアの執政官着任を認めていなかったので、執政官および執政府名義で送られてきた書状は読まずに破棄し、使者にもいっさい会わなかった。

 完全にサレとモウリシアは没交渉となっており、あとは(かん)()を交えるのを待つだけの間柄となっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ