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四巻(二十八)

都、狂い乱れて(十)

 今の大公[スザレ・マウロ]の妄動に対して、サレがとりあえず行った対応は以下である。


 まず、執政官解任の件については、[トオドジエ・]コルネイアに(かく)(しゅう)(ぎょ)使()()ての書状を書かせたが、その反応は(かんば)しくなかった。


 東南州と東部州は、州境をめぐる紛争状態に入っており、両州馭使ともに、都の混乱については、それを傍観する姿勢をみせ、モウリシア[・カスト]の執政官着任についても、その賛否を明らかにしなかった。

 東南州との州境の兵を増強しつづける東州公[エレーニ・ゴレアーナ]は、執政官[コルネイア]派と青年[マウロ]派の争いをひとまずは放置しておいて、その後、自州に都合のよい動きをする腹積もりであったのだろう。

 対する東南州の[タリストン・]グブリエラは、西南州と領地を接していたのだから、本来、都の動きに敏感であらねばならなかったのだが、その余裕すらなかった。


 頼みの綱であった近北公[ハエルヌン・ブランクーレ]にとって、モウリシアの(しっ)(せい)(かん)(せん)(しょう)は、もはや対立が避けがたい、大公を攻撃する有効な材料であったから、ぜひとも、モウリシアに執政官へなってもらわなければならなかった。

 そのために、大公の使者が、モウリシアの執政官着任について、形式上の必要性からのみ、近北公へ是非を問うた時、彼は、大公の気が変わらぬ程度に抑えた抗議を行うのみで、その就任について、積極的な抵抗は示さなかった。

 上記の内容をつづった密書が、ウベラ[・ガスムン]よりサレに届いたのだが、その中で近北公から、近北州の雪が解けるまでは(※1)、コルネイアとサレは軽挙を(つつし)むようにとの指示を受けた。

 この密書を読み、雪が解けたら、いくさがはじめることをふたりは悟った。


 近北州と近しい関係にあった、西部の二州[近西州および遠西州]は、近北公の意向をくみ、彼に歩調を合わせる姿勢を見せた

 対して、近北公と相争っていた事情から、遠北州のみが、モウリシアの執政官就任について、積極的に賛同した。



※1 近北州の雪が解けるまでは

 この年の冬、近北州は、州の古老ですら記憶にないほどの豪雪に襲われていた。

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