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四巻(二十)

都、狂い乱れて(二)

 晩秋[十二月]。

 執政官[トオドジエ・コルネイア]は、どうにか薔薇園[執政府]に(とど)まろうとがんばっていたが、(せき)()(とう)のうろつくコステラ=ボランクに居ては身を保てないと考え、合わせて、サレからの忠告もあったので、赤衣党に彼の屋敷を襲撃する計画があることを漏れ聞くと、もはやこれまでと、女の姿をして敵の目をくらまし、(あい)(しょう)とともにサレの屋敷へ逃げ込んだ(※1)。

 その姿を見て、サレが愉快そうに笑ったので、(かずら)をつけたまま、執政官は激高した。彼がサレに対して怒ったのは、長い付き合いの中で、これがゆいいつの例となった。


 執政官が薔薇園を離れたことで、サレとモウリシア[・カスト]の(かく)(ちく)は激しくなり、両党に死者が出るほど事態は悪化した。

 この状況を受けて、執政官と今の大公[スザレ・マウロ]は、それぞれ個別にホアビウ[・オンデルサン]を通じて、バージェ候[ガーグ・オンデルサン]に事態の収拾へ動くよう依頼した。しかし、候は病を理由に動かなかった。

 執政官は候の保身に(ふん)(がい)したが、サレはそれ以上のもの、候に野心が芽生えているのではないかと危惧した。

 摂政[ジヴァ・デウアルト]については、すっかり傍観者を決め込んでいることが、[オルネステ・]モドゥラ侍従からの書状で明らかだった。



※1 愛妾とともにサレの屋敷へ逃げ込んだ

 スザレ・マウロおよびモウリシア・カストが、トオドジエ・コルネイアをどうするつもりであったのかは不明だが、赤衣党にトオドジエの屋敷を襲撃させる計画は事実だったようである。後の推移から判断すると、彼の身柄を拘束して、執政官の職を辞めさせる腹積もりだったのだろう。

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