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四巻(十一)

南衛府監(二)

 (なん)(えい)()(かん)()いてからの一年あまりに、サレの行った施策の主だったものを以下に記す(※1)。


一、宗教にかかわる規律の粛正


 嘆かわしいことに、コステラ=デイラでは(※2)、宗教に関するご定法(※3)に関して、その順守に緩みがあったので、いろいろと非難を受けはしたが、サレはこれを徹底的に正した。

 まず、ご定法で厳禁とされていた、宗教を生業とする者たちを捕らえ、目に余る者どもは即座に火あぶりにし、そうでない者たちには寛恕の心を示し、財産の没収と都からの追放で許した(※4)。

 加えて、ご定法でさだめられた場所や時刻以外で説法を行っていた者たちにも処罰を与えた。

 なお、異教徒については、東部州の意向を踏まえたうえで対処した(※5)。



※1 サレの行った施策の主だったものを以下に記す

 この文章につづいて、サレの南衛府監時代の八つの施策について、箇条書きで説明がなされているが、おそらく、彼の事績を称揚するために、第三者の手によって書き足されたものと推測される。

 追記者は、その内容から、ラウザドのローレイル家にかかわりのある者が有力である。

 なお、サレの長子オイルタンの名を挙げる者も少なからずいるが、彼は本書の内容に不満を持ち、その存在を疎ましく思っていたので、その可能性はきわめて低いと考えられる。

 上で述べたとおり、問題のある()(しょ)だが、サレの手によって書かれていないと断定はできないし、内容的に見て、他の史料と整合性が取れているので、そのまま載せることにした。

 あわせて、この場で言及しておくと、サレが口述筆記させたと思われる本回顧録自体を、偽書とする史家も少数ながら存在する。

 これに対する反証は十分にあるが、それに紙幅を()くことは、本注釈の目的から外れるので、省略する。


※2 嘆かわしいことに、コステラ=デイラでは

 ハエルヌン・ブランクーレの手により、宗教の管理が徹底していた近北州を意識した文言。


※3 ご定法

 国是である政教分離および、それに基づいた宗教政策を規定している、デウアルト法典の第一条を指す。


※4 財産の没収と都からの追放で許した

 同時に、占いを生業とする者たちも捕縛された。あくどい商売をしていた者たちは厳罰に処されたが、程度の軽い者たちは説諭のみで許された。


※5 東部州の意向を踏まえたうえで対処した

 東部州は、異教の布教者たちの出身地である、東方諸国と海外貿易を行っていたので、サレの粛正によって、その貿易に支障の出る可能性があった。

 そのため、サレは(とう)()(しゅう)(しゅう)(ぎょ)使()エレーニ・ゴレアーナに対して、ゼヨジ・ボエヌを派遣して、その異教徒対策について了解を求めた。

 なお、ゼヨジがゴレアーナに面会を許された際、「この世でいちばん大事なものはなにか」と問われ、即座に「時間でございます」と、彼女を満足する答えを返し、褒美をもらったという逸話がある。

 それを本人から聞いたサレは喜び、彼もゼヨジに銀貨を与えたとのこと。

 また、面会の中で、ゴレアーナは従妹(いとこ)のハランシスク・スラザーラの様子をたずね、ゼヨジから返答を受けると、次のように言ったとされている。

「まだ子供のままか。うらやましいが、まわりはたいへんだろう。ハランシスクにこう伝えておけ。いいかげんに、年相応の理性と自分の立場に基づいて行動しろ。私を姉と呼ぶのならば、私のいうことを聞けとな」

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