記憶操作
「本当に聞こえんの?」
「うん。それで今、死神が私の記憶が操作されてるって」
朔夜が口元に手を持っていった。
頭の中でいろいろと思考を巡らせているのだろう。
「死神と契約してるから記憶操作されないって前に言ってたよね?」
「うん」
朔夜が指摘した通り、私は死神との契約していたため2年前に行われた大規模な記憶操作では何も起こらなかった。
しかし、今死神は記憶操作が行われたと言った。
「何の記憶を操作されたんだろう...」
《小娘が今話した妹との喧嘩の話だ。小娘の男の言ったように妹は抱きついてなどいない》
操作された記憶は分かった。
次に出てきた疑問はいつのタイミングで操作されたか。
死神と契約してるからそう容易なことではないはずだ。
《小娘が隙を見せたか、相当衝撃的なことがあった時だろうな》
「衝撃的なことがあった時に操作されたらしい」
死神の声は朔夜には聞こえていないので、私が通訳のように間に入る。
しかし、私に感情を強く動かされる出来事あっただろうか。
「伊弦くんが亡くなった時...とか?」
《2年前の小娘が1番崩れた時期か...可能性はあるだろうな》
「可能性あるって」
「やった!他に操った犯人のヒントってあったりする?」
《小娘の兄が死んだ時、小娘の近くにいたやつが怪しいな。おい訳せ》
遂には死神にまで通訳しろと言われる始末。
「伊弦が死んだ時に私の近くにいた人が怪しいって」
いいように使われている気がするが気にしない。
今はそれよりも記憶操作を行った犯人だ。
伊弦が死んだ時、私の近くにいた人物...
獏さんと朔夜は確実にあの場にいた。
でも2人は私の記憶を操作したところでメリットがないので除外。
「あの人は?」
「え?」
「ほら、いたじゃん!救護室の前の廊下に」
朔夜が名前を絞り出しているが、時間が掛かりそうなので別の路線から攻めるしかない。
「この話は一旦保留。もう少し情報が欲しいから知ってそうな人に話を聞いてくる」
記憶操作に1番関係があるであろう人物へメッセージを送った。




