白い世界
◇◇◇
いつもの真っ白な世界が目の前に広がっている。
道標も建物も何もない場所。
歩いていると姿が見えてきた。
〈ねぇ、私死んだ?〉
《...生きてはいる》
私を一瞥すると死神は静かに答えた。
生きてはいる...か。
無性に熱いお茶が飲みたくなった。
すると、真っ白な背景の中に畳がポツンと現れた。
畳の上にはちゃぶ台と急須、湯呑みが置かれている。
私の意識下の世界だから想像したものは大体出てくるのだ。
死神と私の2人分のお茶を淹れる。
お互いに無言で一口飲み、同時に湯呑みをちゃぶ台に置いた。
《目覚めるには時間がかかるだろうな》
お茶を挟んだけど話はまだ続いていた。
〈なんで?〉
《...小娘はどこまで覚えている?》
〈変なものを被せられた後に強い痛みがあったことくらい〉
そこからは気づいたら中邑くんが目の前にいた。
だから私は何があったのかも分からない。
《そこからか...あの後、馬鹿どもが私達を無理矢理入れ替えた》
馬鹿どもとはナイトメアのことだろう。
死神は私が知らない空白の時間に何があったのかを説明し始めた。
〈私の意識と死神を入れ替えたってこと?〉
《ああ。大福とぼた餅を出せ》
言われた通り大福とおはぎを想像したので、ちゃぶ台の上に2つが出てきた。
《私が餡だとしよう。普段は小娘の中に私がいる》
〈うん〉
死神が私の前に大福を差し出す。
大福の求肥が私で、餡が死神。
《私と語るために、ぼた餅のように私と小娘を入れ替えた》
大福とおはぎの位置が入れ替えられた。
おはぎのように私の意識を奥に押し込んだということか。
〈なるほど...あ、〉
死神が大福を食べた。
〈そんなことできるの...?〉
《実際成功したから小娘は今眠っている。大方、魘魔の能力だろうな》
そんな能力を持つ魘魔がいたとは、まだ知らないことばかりだ。
《強引に私を外に出したことで、私と小娘を同調していた部分が切れかけている》
〈へー〉
説明されているが正直あまり分かっていない。
死神にはぁ...とため息をつかれた。
《簡潔に言うと、私達を繋いでいる縄が切れかけているということだ》
〈それは大変だ〉
なぜさっきから分かりやすい例えばかり出てくるのかが不思議だが、聞いたら得意げな反応が返ってきそうなのでやめておいた。




