監察
◇◇◇
監察は2人ペアで行うことになった。
話し合いの結果、力量が均等になるようにペア分けされた。
つまり俺と八神さん、西宮と四辻師団長というペアだ。
そして、今日は俺達が担当である。
二条宗が入って行ったビルの真正面のアパートの部屋を借りて、2人して双眼鏡を手に窓際に座っている。
カーテンやブラインドで隠してはいるものの、警察に通報されたら一発アウトな光景だ。
「中邑くん、今何時?」
「えっと、12時過ぎてます」
朝の8時からこの部屋に来たが、気付けばお昼の時間になっていた。
「特に動きもないし、お昼ご飯食べよっか」
八神さんが窓際から離れた。
「は、はい!」
運び入れたセットの机と椅子に寮母さんが作ってくれた弁当が置かれる。
クーラーボックスからお茶を取り出し、紙コップに注ぎ2人で弁当を食べ始める。
「あー千歳さんの弁当、美味しすぎる」
弁当を頬張って幸せそうな表情を見ると、八神さんも普通の人なんだと感じた。
「中邑くんはなんで潜夢士になろうと思ったの?」
「唐突っすね」
デザートのプリンを食べている時に八神さんから質問された。
「妹がいるんですけど、3年前に夢現者になって寝たきりなんすよね。BAKUに入ったらどうにかできるかなって思って」
「そっか...」
あ、俺のせいで重い空気になってしまった。
「八神さんは兄弟いるんですか?」
「...うん。兄と妹が」
少しの間が気になったが、あえて気づかなかったことにする。
「八神さんのとこは兄妹揃って美男美女なんでしょうね」
「アハハ、どうだろう。兄は人気者だったかな」
こんな時にする話ではないけれど、こんな時だからこそ八神さんとの距離が少し縮まった気がした。
翌日の朝8時、四辻師団長と西宮が交代しに来た。
「確認できたのは15人。人がいない時を狙って潜入するのもいいと思うけど...もう少し情報集めたいかな」
「了解、2人ともお疲れ」
24時間の監察から解放された。
この生活を繰り返し、1週間が経過する頃には監察対象グループの1日の流れが分かってきた。
そして、2日に1回くらいの頻度で全員がどこかに出掛けていることに気がついた。
「次、人がいなくなったタイミングで突入しよう」
八神さん曰く、早めに蹴りをつけた方がいいと思ったらしい。
俺達が担当の日、そのタイミングがやって来た。




