サンドイッチ
警察や機動隊でごった返している科学部。
私がいると邪魔になりそうなので出口に向かって歩いていると、ある人と目が合った。
人混みの中なのに自然と道が開けていた。
その人に向かって微笑むとすごい勢いで走ってきて抱きしめられた。
「......無事でよかった」
私の存在を確かめるように強くなる朔夜の力。
応えるように朔夜の背中に手を回した。
「なんでいるの?」
犯人達に朔夜を見せないために連絡しなかったのに。
「叶人から連絡が来た。強いのは知ってるけど無茶するなよ...」
普通の人なら素直に返事をするのだろう。
私もできることなら無茶なんてしたくない。
だが、守るものが多い立場なので約束はできない...
目の前は朔夜の胸。
逃げ場がなくて悩んでいると背中側からも温もりと重さを感じた。
「諦めろ朔夜。香織が無茶しないなんて無理な話だ」
背中側にいるのは叶人だ、横から手が見える。
待てよ、この構図...
頭の中で整理する。
今の構図は朔夜、私、叶人となっている。
まさしくサンドイッチ状態。
2人は身長が180センチ以上あるが、私は155センチしかない。
だから2人に埋もれる形になっているはず。
ということは、側から見ると朔夜と叶人が抱き合っている図が完成する。
「こいつは厄介ごとに巻き込まれる運「ブフッ」」
耐えきれず叶人の話してる途中に吹き出してしまった。
「おい、今変なこと考えたな?」
「それより叶人離れろよ」
「朔夜が離れるなら離れる」
2人に揉みくちゃにされて心の中で誰かに助けを求める。
「君らなんで抱き合っとん?まさか叶人...男色家やったん⁉︎」
「蘭ちゃん、男色家ってなに〜?」
「如月が男好きってことよ」
「叶人...まじかよ」
麻子の質問に蘭が答え、礼央の驚いている声が聞こえる。
みんなは私がいない間も変わらず仲良しだったようだ。
この雰囲気が久しぶりで安心する。
「あ!間に香織いるじゃん。2人共邪魔なんだけど!」
流石の朔夜と叶人も風真には逆らえず、私は男サンドイッチから解放された。
「怪我は?」
「してない。心配してくれてありがとう」
「はぁ?心配なんてしてないし」
風真のツンデレもかわいいものだ。
みんなは多分、自分の格好を自覚してないのだろう。
「みんな寝巻きのくせに」
「「「⁉︎」」」
寝巻きにもそれぞれの個性が出ているので見ていて面白い。
風真は上下揃ったパジャマでさすが実家住みって感じ。
麻子はパステルカラーのパジャマ、蘭は灰色のワンピース風で、礼央は目が痛くなるほどの派手なジャージ。
真白は想像通りの浴衣で、叶人は意外にも甚平。
着替えるのも忘れるくらい心配してくれたってことが私は何より嬉しい。
私が与えられてこなかった当たり前をみんなが教えてくれる。
心配したり、笑わせてくれたり...大事なものに気づかせてくれる。
自分の家よりも心地のいい場所。
みんなは知ってるだろうか。
みんながいるから私は頑張れるということに。




