出血
廊下から部屋の中を覗くと隊員達は怯えている様子。
床に赤い液体と倒れている隊員が見えた。
心臓が嫌な音を立てる。
叶人達が来るまでじっとしてようと思ったけど辞めだ。
鎌を出して床を蹴った。
宙からボスの持っている銃目掛けて鎌を振り下ろす。
そして、そのままボスの首に刃を突き付けて睨んだ。
「...調子に乗り過ぎだ」
首から血が滲み、驚いたボスは尻もちをついた。
「ま、待ってくれ」
情けない声を出して震えている。
いくらガタイが良くても突如訪れた死への恐怖には勝てなかったようだ。
他の犯人達も急な展開について来れていない。
床に転がっている真っ二つになった銃とボスを無視して倒れている隊員の元へ駆け寄る。
撃たれていたのは...
「福ちゃん、」
大腿部に銃弾が命中していて、貫通はしていないが出血している。
「ちょっと触るよ」
ガーゼを傷口に当てて包帯を巻いて固定し、足の付け根も包帯で縛る。
「他に怪我した人は?」
「大丈夫です」
みんな首を振ったり、声を出せてるから取り敢えずは大丈夫そうだ。
通信機からガチャガチャと音が聞こえる。
『香織、無事か⁉︎』
声の主は叶人だった。
隊員の無事が確認できたのと、叶人の声が聞こえたので少し落ち着いた。
「私は無事だけど1人撃たれた。うちの救護班、科学支部の前に待機させといて」
『分かった。俺達もすぐ行く』
「動くな!何ブツブツ言ってんだ!」
「武器を渡せ!」
声のする方を見ると2人の男が銃を私に向けて構えていた。
忘れていた、ここにいる隊員は武器を取られているから何も出来ない。
「早くしろ!」
ボスがあんな状態なのに優秀な部下だこと...
指示通り床を滑らせて鎌を渡すと刃を足で踏まれる。
「お前、八神香織だな?」
鎌を踏んでない方の男が話しかけてきた。
「......」
「一度見たことあんだよ。八神香織も自分の身長と変わらない大きさの鎌で戦ってた」
よく見るとトイレの親切なおじさんだった。
「目の色が違うから別人だと思ってたが...本人だな?」
「そうだけど?」
ドォーン
大きな音を立てて科学部の扉が開いた。
私以外の全員の注意が扉に向けられ、鎌から男の足が離れる。
「来い」
それと同時に鎌に命じる。
手に戻ってきた鎌で2人の銃も斬り落とす。
武器を失った犯人達は全員確保された。
今のは叶人達が乗り込んできた音。
通信機から突入する前の会話が聞こえていたのだ。
「救護班!こっちに重傷者1名!」
救護班を福ちゃんの元に誘導し、運び出されていくのを確認した。
部屋にいた隊員達の後に、警察に連れられた犯人達が続いた。
トイレで会話したおじさんと目が合った。
「あなたは悪人に向いてない。優しすぎ。勘付いてたならすぐ仲間に言うべきだったね」
「ハハ、まさかこんな小娘が司令官だとはな...」
「よく言われる」
少し会話を交わすとおじさんも連れて行かれた。




