来週へ向けて
本部に戻ると怖い顔をした真白に出くわした。
「何やあの惨状は?」
「いやー」
この様子だと防犯カメラか何かで私達のこと見てたのだろう。
今までも上の人にグチグチ言われてるのを知ってる真白。
麻子ではなく私に詰め寄ってきた。
もっと早めに止めることが出来ただろう、と遠回しに圧をかけられる。
「待って、白ちゃん。道路ぐちゃぐちゃにしたのは私だから香織は責めないで!」
「はぁ...」
元凶である麻子に諭されて言葉も出ない真白。
「で、どうなんや」
「?」
何のことを言ってるのか分からなくて首を傾げた。
「腕。鎌振ってたやろ?」
「ああ、大丈夫!もう動かしても痛くない」
腕を激しく動かしても違和感すらない。
「科学部でも支障ないと思う」
来週から機本率いる眼鏡集団の特攻部体験が始まる。
「よかったな。まだ無理せんときや」
「分かってるー」
返事をしながら真白の横を通り過ぎ、後ろから来ていた叶人の目の前に立った。
「香「私が麻子を戦闘に行かせない理由が分かったでしょ」」
叶人の言葉を遮る。
「ああ...その、」
「あ、謝ったら三日月堂のスイーツ奢らすよ?第三師団のことを伝え忘れた私が悪かった」
と言ってニヤっと笑った。
この前、私も同じ理由で奢らされたから少し仕返し。
それに慣れない仕事を2週間、文句も言わずにやってくれた人のミスを責める訳がない。
むしろ感謝してもしきれないくらいだ。
「分かった」
仕返しされると思っていなかったのか、叶人はフッと笑った。
「どうだった?この2週間」
叶人は少し考えてから口を開けた。
「そうだな...大変だったって言うのが正直な感想だ。俺は師団長で十分だ。お前らはすごいよ」
感想を聞いただけなのに褒められるとは思ってなかった。
誰かに認められたくてやってきた訳じゃない。
司令官になったのも伊弦の推薦だし、私のことを認めていない人がいるのも知ってた。
そういう人達が辞めていったのも事実。
それでも頑張って来れたのは側てま支えてくれた人達のお蔭だ。
そんな叶人に褒められた...少し、いやかなり嬉しかった。
「そっか...来週から科学部も来るから無理ない程度で真白を手伝ってあげて」
「ああ...香織もくれぐれも無理すんなよ」
その日は早めに帰ったが、叶人の言葉で幸せな気分で眠れた。




