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潜夢士  作者: 藤咲 乃々
67/121

開始

◇◇◇


第三師団の近距離部隊が攻撃を始めてから20分弱が経過した。

肩で息をしている隊員もチラホラ見える。


「麻子」

「うん、お願い」

麻子も隊員達の限界を感じ取ったみたいで攻撃の許可が出た。


「第一A班、ゲート前と第三A班の加勢。二手に分かれて攻撃開始」


第三師団の方は近距離部隊もいるから加勢するのは少ない人数でも充分足りる。

ゲートの方を優先させたほうがようだ。


「叶人、潜夢はどの班が行ってる?」

『第七B班だ』


風真のとこの副師団長は...

「服部さん、進捗は?」

『今倒しました。すぐにゲートも閉じるかと』


「了解です。ありがとうございます」

若過ぎる風真を師団長に選抜したから、副師団長にはベテランの服部さんを指名した。

歳上なだけあって安心感と安定感が段違いだ。


我ながらいい人選だったと満足感に浸っているとゲートが閉じた。

地面を蹴り、空から魘魔の数を把握する。


「結構出てきてるねー」

100はいるか...思ったよりも魘魔の数が多い。

それに加えて第三A班のフォローがある。


欠点を補うための訓練をしてると言っても、この量の魘魔を相手するのは遠距離部隊はしんどいだろう。

麻子も自分の師団のことで忙しそうだ。



[第一A班、魘魔を倒しながら後退して第三A班に合流。魘魔と距離を取って、陣は円形ね]

せっかく麻子がいるんだから力を貸してもらおう。


「麻子、撃てる準備しといて」

『了解〜』

空から降りて魘魔と第一A班の間に入った。


不可抗力ということで許してください、と心の中で医者に謝りながら鎌を振った。


怒られないように軽く振ったので魘魔の数はあまり削れなかったけど、私の思い通り前衛にいた魘魔は倒せた。

これで時間に余裕ができるはず。


『香織、いけるよ〜』

通信が入ったので再び宙に浮かんだ。


私が飛ぶと第三A班の遠距離攻撃が魘魔達に当たる。

さっきと違うところは麻子が攻撃範囲の広い武器を使っているところ。


手持ちミサイルが撃てる武器で魘魔達が吹き飛んでいる。

地面はボロボロになっているが...そこは獏さんや上の人に任せよう。


「麻子、もういいよ。麻子ー」

『あ、ごめん!久々に使ったから楽しくなっちゃって』


麻子の活躍でコンクリートだったはずの地面は下層の砂地が顔を出していた。

これで人の命は救われたのだから安い出費だろう。


しかし、怒られる可能性が出てきた。

私の心配をよそに当の本人は「コンクリートの下ってこうなってるんだ〜」と盛り上がっている。


怒らせたらこれよりもっと被害が出るかもしれない...

私の中の“本気で怒らせてはいけない人物ランキング”で麻子が1位に舞い戻った。

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