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潜夢士  作者: 藤咲 乃々
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ギプス

「でも...」

私が休んだらみんなに迷惑かけてしまう...


「今は安静が優先。変に動くと骨が変形しちゃうので」


無理をして長引いたらさらにみんなに迷惑をかけるのは分かっている。

私が休んでいる間にレベル5の魘魔が出たら、誰かが死んでしまったら...と思うとじっとしていられない。


「まあ、いつも働き過ぎなくらいだからな」

ポンと肩に手が置かれ、声がした。


「叶人...」

どこから現れたのか分からないが、蘭と麻子以外の幹部が揃っていた。


「ええか香織、西の司令官はな現場に行かへん」

だから私も休めということだろう。

真白なりの励ましだ。


ただでさえ忙しい時期でみんなもあまり休めてないのに。


「香織ちゃんもたまには休んだら?」

「そんなに俺達は信用できない?」

宗と風真が断りづらく答えにくい質問を投げかけてきた。


「休むのも仕事だ」

朔夜にとどめを刺されて渋々折れるしかなくなる。


「分かった、ちゃんと休むよ」

戦闘は、ね。



「みんなは眠れた?」

「うん。ありがとう、早希さん」

礼央が先生の名前を呼んだ。


「知り合い?」

「俺の叔母の早希さん」


早希さんは礼央のお母さんの妹で、今いる個人病院の医師をしているそうだ。


「早希さん、香織の腕吊ってやって」

「え?いいの?」

私ではなく礼央に了承を得る早希さん。


「吊っとかねぇと無理してでも動かすからな!」

「うん、それはしとこうか...」


あっという間によく見る骨折スタイルであるギプスに三角巾の姿になった。

痛み止めをもらい2週間後にも来院する予約もとられ、勝手に物事が進んでいった。


「最悪。動かしづらい...」

「固定するために使う物だからね〜」

宗に正論を言われて何も言えない。


「おい、帰るぞ」

叶人の号令で車に乗り込む。

みんなが後ろに座るから、私は必然的に助手席へ座った。


そこからが大変だった。

左手の負傷を隠していたことをみんなからグチグチと責められる。


それを聞き流しながら、左手が使えないから今後の生活不便だろうな...と流れていく景色を眺めていた。



車を少し走らせたところで車内が静かになった。

後ろを見るとみんな眠っていた。


「痛みは?」

「なんとか大丈夫。薬が効いてるから」

「そうか...」


私と叶人の間に沈黙が流れ、みんなの寝息だけが車内に響いている。


「あの悪夢は間違いなくレベル4だった...」

「ああ」

感知したのも本体もレベル4の魘魔だった。


しかし、ゲートの外に出た魘魔のレベルが次第に上がっていき最終的にはレベル5並の強さに変わった。


「油断して...怪我したのが私だけでよかった」

油断してた訳じゃない、と言おうと思った。


しかし、窓の反射で後部座席の誰かが動いたのが見えたので話を打ち切った。


またナイトメアが絡んでいるのだろうが証拠は掴めていない。

骨折だけで済んだのが救いだ。

ギプスの上から腕を摩り、これからのことを考えた。

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