逃げましょう
情報室に入ると相変わらず忙しない様子。
1人で指示を出していた真白にも疲れが見える。
「真白、遅くなってごめん。私やるから休んで」
「一発喰らったって聞いたで。大丈夫なんか?」
相変わらず情報が早い。
叶人がバラしたな...
「うん、このくらい余裕」
「...ほな、30分仮眠してくる」
「はーい」
真白が情報室を出たのはいいが、ものすごく視線を感じる。
「あ...百合さんも休憩行きます?」
「行かない」
休憩が欲しいわけじゃないのか...にしてはかなり見てきますけど。
もしかして、腕のことバレてる?
百合が手を伸ばしてきた。
触られないように左腕を身体の後ろに隠す。
「顔に傷できてる。気休めだけど」
百合の手にあったのは絆創膏。
「あ、あぁ...」
絆創膏を受け取ろうとするが今の左手は動かしづらい。
「傷見えないから貼ってもらっていい?」
「いいけど...」
不思議な様子をしつつも絆創膏を貼ってくれた百合。
「できたよ」
「ありがとう。残り3時間乗り切ろう」
と言ったものの、そこからの3時間は怒涛の時間だった。
次々にくる仕事と時間が経つごとに増してくる痛みとの戦い。
仕事が終わる頃には、少し動かしただけで顔を顰めるくらい痛くなっていた。
幹部報告会を気合いで終わらせて、更衣室で着替えの最中。
「香織、着替えないの?」
痛みに耐えていると蘭に指摘された。
「...え?あー、今から着替える。ちょっと考え事してた」
「怪しい〜。なんか隠してるでしょ?」
「そんな訳ないじゃん」
麻子に怪しまれて渋々服を脱いだ。
隊服は脱げるがワイシャツは脱げない。
ただでさえ怪しまれてるし、今着替えれば左腕は確実にバレる。
2人のことだ。
病院に連れて行かれて、戦闘に出してもらえなくなるのがオチ。
こうなったら選択肢は1つしかない...
「そういえば呼ばれてるんだったー」
この状況は逃げるに限る。
「あ、香織!待ちなさい!」
蘭の叫ぶ声を背に女子更衣室から出た。
振り返ると声はするが、追ってはきてないみたいだ。
時間を潰して2人が帰るのを待つしかな、⁉︎
考え事をしながら走っていたから、誰かとぶつかり倒れた。
私が誰かを下敷きにしている状態。
「いっ...」
待って。
後ろを見て走っていたから...左腕からぶつかった...
「危な、って香織かよ。廊下走ったら危ねぇだろ!聞いてんのか⁉︎」
名前呼ばれて怒られてるけど痛すぎて返事なんかできない。
呼吸で痛みを紛らわせないと無理なやつだ。




