帰還と科学班
「香織!よかった...その血はどうしたの⁉︎」
目を開けると蘭と叶人が待ち構えていた。
「血の雨だから大丈「おい、ちゃんと応答しろ。心配するだろ!」」
叶人に胸ぐらを掴まれ、話を遮られる。
「ごめんごめん。攻撃受けたら通信機壊れちゃって」
証拠の通信機を見せると叶人は手を離した。
私が全身血塗れのせいで叶人の右手も真っ赤に染まっている。
「早くシャワー浴びてこい。後処理はやっとく」
「うん。お願いします」
倒した魘魔の回収と破損した道路などの修繕依頼を2人にお願いした。
脱衣所で服を脱ぎ、シャワールームに入る。
服を脱いで驚いた。
さっきまでなんともなかった左腕が腫れてきている。
この忙しい時期に負傷とか笑えない。
シャワーを頭から被ると赤く染まった水が排水口に向かって流れた。
脱衣所に戻ると、誰かが替えの隊服をロッカーから持ってきてくれていた。
服を着たら腫れていることが分かるかと思ったが、杞憂だった。
よく見れば太さが違うくらいでなんとかバレなさそうだ。
そのまま通信機を直してもらいに科学班へ行った。
「失礼します、沼路さんー」
「お、かおちゃん。どうした?」
我が特攻部科学班が誇る天才発明家、沼路英介。
伊弦の同級生で、無理難題な注文をお願いしても大体のことは応えてくれる。
科学部に引き抜かれなくて本当によかったと思える人材だ。
「通信機壊れちゃったので直してください!」
頭を下げながら壊れた通信機を差し出す。
「壊れた⁉︎はは、マジじゃん。何したの?」
通信機を手にして、面白そうに感心している沼路さん。
「いやー、レベル4の一撃喰らっちゃって」
「大丈夫かよ。怪我は?」
「大丈夫。問題なし」
勘付かれないように得意げに答える。
「ちゃんと医務室で診てもらえよー。通信機も直しといてやっから。それと...これな」
予備の通信機を渡された。
「助かったー。ありがとうございます」
通信機ないと情報が把握できないから、使い物にならないとこだった...
「なんか注文とかある?」
「頑丈で軽いやつ!あと、もう少し小さくなると嬉しいです」
壊れると大変だということを身に染みて感じたから、頑丈は第一条件。
「あいつと同じ注文しやがって。大変なんだからな...」
沼路さんが呆れた声を出した。
「大丈夫ですよ、沼路さん天才なんで」
「そりゃどうも。じゃ、気をつけろよ」
「はい!お願いします」
新しい通信機を期待しながら科学班を後にした。
“大丈夫だろ、沼路は天才だからな”
「ったく、似すぎなんだよ。お前ら兄妹は」




