幻聴
◇◇◇
「またサイレンだ」
「本当ね...」
「お前らしっかりしろー。サイレン鳴ってないぞー」
先輩達に声を掛けられ、西宮と顔を見合わせる。
合宿明けから俺と西宮は正式にペアとして行動している。
合宿で行われたペア戦での連携が評価されたらしい。
1人分の仕事を2人でこなしているが、鳴り止まないサイレンにとうとう幻聴が聞こえ始めた。
2日前までの休みが嘘だったかのように、一気に現実に戻された。
現在、ゴールデンウィーク明け。
今までの比にならないくらいのサイレンが毎日鳴り続けている。
国民の五月病が原因で悪夢が大量発生しているのだ。
ゴールデンウィーク明けから3日しか経っていないが、既にしんどい。
「まだ序盤だ」
聞きたくなかった言葉を如月団長が言った。
ビービービー
【東区内に悪夢発生。開錠地、羽柴ビル】
「また幻聴が聞こえる」
「うるさいわね」
西宮と耳を叩いて幻聴を消そうと試みた。
「ばか!これは本物だ!」と先輩に叫ばれる。
今度のサイレンは本物で緊張感が走る。
[手の空いてる師団は?]
八神さんの声が支部全体に流れる。
数日前の会食では何か悩んでいる様子だった八神さん。
今日廊下で見かけた時は清々しい表情をしていたので安心した。
「第一、両方行けるぞ」
如月団長が応答して返事を待つ。
普段なら通信機を使ってやり取りしているが、今は繁忙期。
放送で支部全体に指令が届くようになっているらしい。
[第一B班は戦闘、第四A班は潜夢]
「了解」




