孤独な呪い
「まさか2人が付き合ってるとはね...」
食事会の帰り道、莉子ちゃんに揶揄われる私。
朔夜は中邑くんと私達の後ろ方を歩いている。
「朔夜くんのどこが好きなの?失礼だけど顔とか?」
「違うよ」
確かに朔夜はかっこいいと思う。
背も高いし、一緒に街を歩けば必ず二度見されるのはよくある話だ。
でも、それが決め手ではない。
「え〜、じゃあどこ?」
口で説明するのは難しい。
「私を一人にはしてくれるけど、独りにはしないところ」
「?」
莉子ちゃんは首を傾げた。
「莉子ちゃんにも分かる時が来るよ」
改めてありがたい存在だと感じる。
小さい頃から一緒だから、お互いのことは大体分かってるし。
隣にいてくれて安心感をくれる人。
莉子ちゃん達や朔夜とも別れて自分の部屋に帰るとどっと疲れが出た。
疲れは感じるのに眠れない。
夜は今日の出来事の熱と少しのモヤモヤを抱えたまま夜は更けていった。
『許さない』
女の両手が私の首に触れる。
〈...っあ"〉
次第に手に力が込められて首を絞められる。
長い髪が顔に触れる。
『香織だけ幸せになるなんて許さない』
やばい...息が...
〈し...にが...み"...!〉
死神は現れると、鎌で女の身体を容赦なく切った。
酸素が私に戻ってくる。
〈げほっ...げほ〉
《つくづく面白いやつだ。自分の幸せを自分で呪ってどうする?》
《落ち着いて。深呼吸しなさい》
胡蝶の言う通り深呼吸する。
何回かするうちに呼吸が整い、落ち着いた。
〈......〉
今のは...結?
私だけが幸せになるのを恨んでるから出てきたのだろうか。
《妹は関係ない。小娘が自分自身を呪ったんだ》
そうだ、私はたしかに思った。
私だけが幸せでいいのか...と。
《不幸に慣れるな》
死神の言葉にドキッとした。
《美味い夢が食えるのは喜ばしいことだが、後味が悪い》
《伊弦もあなたの幸せを願っていましたよ》
まさかこの2人に説教されるとは。
人の悪夢を食べて生きてるくせに。
〈ありがとう、もう大丈夫〉
目を覚ますと汗だくだった。
しかし、不思議と心はスッキリとしていて軽かった。




