あんた!
◇◇◇
なんでこうなった?
さっきまで西宮の買い物に付き合ってたはずなのに、気づけば高そうな和風の店に来ていた。
こうなった原因は分かっている。
『もしもし、俺です。2人増えてもいいですか?』
四辻師団長の一本の電話。
あれさえなければ、いるだけで緊張するような場所に来ることもなかった。
八神さんも四辻師団長もこの料亭に合ったキッチリした服装をしている。
一方、俺達は普段着でこの場に不相応で浮いている存在に見える。
格式の高そうな場所なだけあって、他の客とは出会わないように配慮してくれるらしいので少し安心した。
「失礼します」
仲居さんに案内された部屋の襖を四辻師団長が躊躇なく進んだ。
そこには優しそうなおじさんがいた。
「来たな、まあ座れ」
八神さん達の後に続いて座る。
「で、その2人は?」
「特攻部の中邑と西宮。入団早々、夢現者と接触した2人です」
四辻師団長が俺達のことをおじさんに伝える。
「ナイトメアを見た可能性がある2人か」
「はい。来る途中にいたので連れてきました」
八神さんも四辻師団長も敬語を使っている。
このおじさんは特攻部司令官よりも上の立場の人ということか?
「せっかくだ、食べながら話そう」
運ばれてきた豪華な料理に感動しながら味わう。
「いただきます、!」
敷居が高そうな料亭なだけあって、美味い!
「朔夜、大丈夫?」
こんなうまい料理に箸をつけていない四辻師団長。
隣の八神さんも心配そうに見ている。
「獏...親父。俺は香織と付き合ってます」
「「え⁉︎」」
今の一言の情報量が多すぎる...落ち着いてひとつずつ整理しよう。
まず“親父”って言ったからこの人は四辻師団長のお父さん。
2人を見比べてみると雰囲気が似てるから納得だ。
次に“香織と付き合ってる”
八神さんと四辻師団長が付き合ってる...⁉︎
ということは、お父さんに恋人を紹介したということ...だよな?
親に紹介=結婚という方程式が頭の中で出来上がった俺は叫んでいた。
「あんた、なんちゅう場に俺達呼んでんだ!」
「え、え?」
キッチリした服装も納得。
結婚の挨拶に部外者を呼ぶなんて、普通に考えたら非常識だろ!
「なんか、ごめんなさい...」
「俺達じゃなくて、八神さんに」
「香織、ごめん」
せっかくの会食の場なのに部外者がいるなんて、八神さんも可哀想に...




