決闘
ことの経緯を見届けたい隊員達は第一師団の訓練場に押し寄せた。
「君、何使うの?」
準備体操をしながら問いかける八神さん。
「剣よ」
「じゃあ私もそれで」
訓練場は円形の闘技場のようになっている。
八神さん達と見物者との間にはガラスがあり、グラウンド内に入ると制御室からの声しか聞こえないみたいだ。
『何本勝負だ?』
「んー、10でいいよね?」
「いいわ」
仮想空間での対戦のため2人の手元に剣が出てきて、服も動きやすそうなものに変わった。
「叶人『わかってる』」
「50にして」
意味が分かっている先輩隊員達がどよめいている。
『...正気か?』
「殺しちゃうかもしれないからね」
感覚を試すように3回ほどジャンプすると八神さんの顔つきが変わった。
「さ、始めようか」
決闘が始まったが、早すぎて八神さんの動きに目が追いつかない。
四辻愛奈は防戦一方。
もはや防げているのかすらもわからない。
『香織』
「ん?」
『もう伸びてるぞ』
「え、まだ2本しかやってないのに...」
圧倒的な力の差に見ている方は言葉を失ってしまう。
「みんな見てんだっけ?」
『ああ』
ちょうどいいか、と八神さんは声を張った。
「誰であろうと私の大切な人達を侮辱したら本気で怒るから気をつけてね?」
今の八神さんは笑ってはいるものの、危ない物を感じた。
「それより師団長の中で残りの8本したい人ー?」
今の決闘が無かったかのように急にテンションが上がっている。
『今50だっけ?』
『ああ』
制御室から師団長達の声が聞こえてくる。
「叶人は強制ね」
『うわ、ご指名だ』
『50なら俺もやりたい』
楽しそうに笑っている八神さん。
今の光景を見せられて弱いと言われても説得力がない。
やっぱり、この人は強い...!
「誰からでも......あ、残念」
突然、八神さんは別の方向を向いた。
あれ、なんか気持ち悪い...




