質問タイム
◇◇◇
新人達が四辻妹と林田くんに駆け寄っている。
四辻妹はなんだかんだいって馴染めているようで少し安心した。
「いやー首とれたと思って油断したー」
木刀をプラプラと揺らしながら歩いて行くと、朔夜が手を出してきたので木刀を手渡す。
「目標は達成できたからいいんじゃない?」
「それはそうね」
私達が目標としていた“的の全点灯”は達成できた訳だが...
嫌なのは質問に答えることなんだよね。
「集合ー」
渋々、集合をかけた。
「みんなお疲れ、盛り上がったみたいで何よりです。勝った2人はもう質問考えてる?」
手を挙げたのは林田くん。
「お2人はレベル5の魘魔を見たことありますか?」
なかなかにいい質問がきた。
「あるよ。私は3回くらいかな」
「俺は2回」
私と朔夜はレベル5の魘魔を一緒に相手したことがあるからその数も含まれている。
「どんな感じでした?」
他の隊員からの質問だけど、まあいいか。
「強い...レベル5だけは格が違う。人の姿だしな」
朔夜が先に答えた。
通常の魘魔はザ・化け物のような見た目をしている。
しかし、レベル5だけは力が強大になりすぎた故に人の姿で、人の言葉を話す。
「分かるー。普通に喋られると調子狂うよね」
「な、なんで逃げないんですか!レベル5って見たら逃げろって言われてるんですよね⁉︎」
誰かの慌てた声が聞こえてくる。
朔夜と顔を見合わせる。
「なんで...?」
「って言われてもな...」
逃げるなんて考えたこともなかった。
結局のところ、レベル5であっても魘魔は魘魔。
誰かが倒さないといけない。
逃げない理由か...悩んだ末に2人で答え出した結果、
「「勝てると思ったから」」
私が契約している死神も朔夜の契約している白虎も元々レベル5の魘魔だから戦力は申し分ない。
四辻妹と目が合った。
「質問決まった?」
「ええ、八神香織。あなたの全力が見たい」
質問とは?
下手な質問されるより体動かせるからいいけど。
それにしても全力か...
幸い、この訓練場は強靭な素材が使われている。
それに私が暴走したとしても朔夜がいる。
他の新人達からも興味津々って見られてるし、断れそうにもない。
「分かった...ただし、離れて見ること」
ブレスレットとピアスを外して朔夜に預ける。
科学班が開発してくれた制御装置。
身につけたまま死神の全力を出せば、装置がおかしくなってしまう。
魘魔と契約を交わすと身体能力が向上する。
私は2体と契約しているから制御装置がないと日常生活で不便なことが多い。
「大丈夫かよ」
「うん、胡蝶の力は出さないから」
人型の的が用意され、鍵を鎌へと変化させる。
〈100%だって〉
小さく呟いて目を閉じると死神のニヤリと笑った気配がした。
死神の力が全身に流れる。
私は少し重くなった鎌を的に向かって振った。




