特別試合
試合開始の合図は準優勝だった中邑くんと莉子ちゃんに任せたので、2人のタイミングで始まる。
「え、」
私と朔夜がテニスのダブルスの前衛後衛みたく前後に立っていることで周囲も含め、四辻林田ペアも戸惑っている。
新人達は全ペアが左右でお互いを守るように試合をしていたから想像もしていなかったのだろう。
「始め!」
莉子ちゃんの声で特別試合が始まった。
「あ、待ちなさい!」
四辻妹の静止も聞かず、林田くんが私を目がけて突っ込んできた。
この時点で相手の陣形は崩れてしまっている。
「来るよ」
「んー」
朔夜に伝えるとすぐに返事が返ってきた。
私の胸の的を狙って林田くんは木刀を振った。
かわしながら前に傾き左手で林田くんの右足の的に木刀を当て、そのまま右手を着いて側転。
着地すると朔夜が木刀を振り上げてくる。
その刀は頭上で私を狙っていた四辻妹の木刀を受ける。
朔夜が四辻妹の相手をしてくれているうちに試合に置いていかれている林田くんを狙いに行く。
「小林!」
私の狙いに気付いた四辻妹が叫ぶ。
胸を狙った一撃が止められた。
「俺は“林田”だ!」
「うわ⁉︎」
林田くんに物凄い力で弾かれ、吹っ飛ばされた。
なに、今の⁉︎
細いから油断してたけど、まさか吹っ飛ばされるなんて。
細マッチョだったか...
「朔夜、これ無理だわ」
「はいよ」
四辻妹を弾き、物理的に距離を作った朔夜。
「待ちなさ、」
朔夜と位置をスイッチして四辻妹の前に立つと、露骨に嫌な顔をされる。
「そんなに嫌がることないじゃん」
一回やり合った仲なのに。
「私は成長したの。だからもう負けないわ」
成長具合は十分なくらい見せてもらった。
けど、
「胸の赤色がお似合いね」
「な、いつの間に...」
朔夜が点けていったランプに気が付かないところを見るとまだまだだ。




