解散の合図
「え...なんでですか?」
「気づいてたんか?」
聞いてくるってことは真白も気づいてたようだ。
「ん。自分で気づくかと思ってたけど一向に気づく気配ないし、これ以上は今後の合宿に響くから」
「はぁーさすがやな」
「まだ決着が、」
中邑くんは興奮してるから今の状況に気がついておらず、納得していない様子。
「香織が止めへんかったら僕が止めてたで」
「落ち着いてから自分の手と脚、見てみな?」
真白と朔夜が中邑くんを諭して深呼吸を促した。
一呼吸おいて中邑くんは自分の脚を見た。
「脚が...痛って!」
脚が疲労で震え、膝に置いた手はまめが潰れている。
置いてあった救急箱から消毒液を出し、中邑くんの手にかける。
「自分の身体の声はちゃんと聞きなさい」
「はい...」
素直な返事が返ってきた。
この素直さが彼の成長を促進させたのかもしれない。
「この姿...完全に昔の叶人じゃん」
風真の言葉にハッとする。
記憶の中の叶人はいつもボロボロだったイメージが確かにある。
ということは...
「自分の悪いとこまで教えてどうすんの!」
叶人の師団にしてよかったとか思った数分前の自分を殴ってやりたい。
「まさかそこまで似るとは...」
シュンとしているところを見ると、少しは反省しているようでこれ以上は何も言えない。
「中邑、それ明日も痛いから覚悟しときな。で、莉子ちゃんは朝に手当てやったげて」
私達が叶人を責めている間に蘭が姉御肌を発揮していた。
「誰もが通る道だよね。ふぁ...」
「「あ、」」
昔から風真の欠伸は私達の中で解散の合図となっている。
「あ!」
風真も自分が欠伸をした事に気がついたがもう遅い。
「みんな、そろそろ部屋戻るよー」
「待って!今のは違う...もう!」
幹部であるがまだ17歳の高校生。
ただでさえ夜中に睡眠が取れないのに、私達が集まるからといって睡眠を奪うのは許されない。
不貞腐れる幼い部分もまだ残っているのだ。
それから風呂に入り、新人隊員の消灯を確認してから眠りについた。




