真白の提案
「あら、ダメだったの?」
「はい。断られました...」
蘭は中邑くんと仲良くなってる。
「可哀想に。一回くらい手合わせしてあげたら?」
え、手合わせ...?
「え、いいんですか⁉︎」
目を輝かせて私を見てくる中邑くん。
「やってあげたいんだけど...今、制御装置外してるんだよね...」
魘魔と2体契約している反動で常日頃、制御装置を付けている。
今は幹部しか来ないと思ってたから部屋に置いてきたのだ。
生身でもなんとか生活できるように力をコントロール出来るようになった。
しかし、今の状態で手加減となると難易度はさらに上がる。
何か他にいい案はないものか...
「ほな、僕やろか?」
悩んでいると真白が名乗り出た。
「いいの?服それで大丈夫?」
「ええよ。このくらいハンデのうちや」
和服って動きにくそうなイメージだけど本当に大丈夫だろうか。
やってくれるって言ってるし、お言葉に甘えよう。
「中邑くん、真白が相手でもいい?」
「はい!」
真白がどのくらい強くなったのかも見たかったし、ちょうどいいか。
◇◇◇
五十嵐師団長が八神さんとの手合わせを提案してくれたが、入口で会った男の人との手合わせとなった。
生身で木刀での一騎打ち。
「中邑くん、よろしゅう」
「お願いします。えっと...」
「壱柳真白いいます。僕も最近知ったんやけど、副司令官やらせてもろてます」
この人が最近帰ってきたっていう副司令!
和服に関西弁でとても似合っている。
「壱柳副司令官!よろしくお願いします」
「真白でええよ。今は勤務外やし無礼講や」
真白さんは読めない人だ。
笑ってはいるけど、何を考えているのか全く分からない。
「始め!」
八神さんの掛け声で試合が始まった。
副司令官ってことは八神さんの次に強いってこと...だよな?
◇◇◇
中邑くんと真白の試合が始まった。
真白が優勢なのは目に見えてたけど2人とも楽しそうだ。
「2人とも遊んでるみたいだな」
隣にいる朔夜が呟いた。
「朔夜もそう見える?」
「ああ」
楽しそうに見えていたのは私だけではないらしい。
中邑くんの戦う姿は初めて見たがかなり筋がいい。
自分で訓練して積んだものなのか、それとも誰かから学んだのか...
「なにをどうしたらこの短時間で真白と中邑が試合をすることになる?」
話を終えた叶人が隣に来た。
莉子ちゃんはそのまま麻子と話しているみたいだ。
「今の私がやったら死んじゃうから代わりに真白が。彼って剣やってたの?」
「いや、入ってきた時は全くの素人だった」
約1ヶ月でここまで上達したってこと?
中邑くんが突きで前に出た。
真白が下がるが、中邑くんの剣が予想よりも伸びてきて頬を掠める。
「叶人も中邑くんのこと気に入ってるよね」
「なんの話だ?」
何を隠そう、さっきの突きは完全に叶人の得意技だ。
「彼に剣を教えたの叶人でしょ?」
「...あいつは努力して強くなるタイプだ。俺はその努力の方向を教えてやっただけ」
結局、教えてんじゃん。
別に教えてたところで怒りはしないのに...
短期間でここまで成長するとは...中邑くんを叶人の師団に配属してよかった。
まだまだ決着がつきそうにない2人。
真白も関西で癖の強い魘魔を相手にしてきただけあって無駄な動きが減り、相手の動きをよく見ている。
楽しそうな2人には悪いけど...
「そこまで」
終わりを告げると2人はピタリと止まった。




