座学
動画を見た後は休憩時間。
本当に座学を受けている先輩がいた。
眼鏡をかけた長いひとつ結びの見たことない人。
一番後ろの席で姿勢を正して座っている。
横を通るとふわっといい匂いがした。
この匂いどこかで......あ。
声を掛けるべきか分からないけど、気づいたのに知らないフリはできない。
「...何してるんですか?八神さん」
「え?」
この反応、もしかして違ったか?
「やるねぇ...どこで気づいた?」
「強いて言うなら匂いですかね...」
理由を言うと納得した様子の八神さん。
八神さんと話していると、教壇横の扉から如月師団長が入って来た。
「如月ー!もうバレちゃった〜」
師団長を呼び捨てしたことで注目が集まる。
下の名前で読んでいるところしか見た事ないから違和感を感じる。
「はぁ...授業は?」
師団長は盛大なため息をついた。
「如月に任せる」
ここまでくると八神さんが別人の様に見えてくる。
「俺がやる。どうせ寝てないんだろ?」
「ありがとう」
授業が始まり、後ろを振り向くと八神さんは居なくなっていた。
授業終了後には「よくやった」と如月師団長から謎に褒められた。
15分の休憩を挟むと、今度は三上師団長の授業。
「きーちゃ...如月師団長の授業で脳と睡眠についてやったと思うんだけど、今からは悪夢についての授業です」
悪夢とは魘魔の集団のことを指す。
魘魔は現実で起こった嫌な出来事から負のエネルギーが発生し、一定の基準値を越えることで生み出される。
基準値には個人差があって精神力にも深い繋がりがある。
魘魔はゲート内の夢の中では負のエネルギー、ゲート外の現実では人間の生命エネルギーを得て成長する。
「レベルってよく使うでしょ?」
よく放送で耳にする魘魔のレベル。
「1から5まであって、数字が大きくなるに従って悪夢の元凶の強さを表してるの」
昼食後の眠たい時間に三上師団長の話し方や雰囲気も合わさり、寝ている隊員もチラホラいる。
「三上団長はレベル5を見たことあるんですか?」
「お、るりるりだ!私はないね〜。レベル5って滅多に出現しないし、戦わず逃げろって言われてるぐらいだから」
“るりるり”はスルーして...
師団長にまで逃げろと言わせるくらい強いレベル5。
「勝てると思いますか?」
「んー。やってみきゃ分かんないけど、他の師団長が2人参戦してくれるなら勝てるかな」
時間となり三上師団長の授業は終わった。




