伊弦の死
翌日1400
寮にある真白の部屋のインターホンを鳴らす。
『はい...開いてるから入ってき』
「お邪魔します」
真白の部屋は綺麗に整頓されていた。
「千歳さんの弁当持ってきた」
寮母の千歳さんに頼んだらお昼ご飯を弁当にしてくれたのだ。
「ありがとう。千歳さんの手料理久しぶりやわ」
2人でペロリと平らげて、本題に入る。
「で、僕に言わなあかんことて?」
「真白がいなかった間のこと」
なぜ私が司令官になったのか、真白がいない間に起きた話。
「この3年で一番大きな出来事は、伊弦が死んだこと」
息を呑む声が聞こえた。
私の6つ上の兄で、特攻部の前司令官。
伊弦は天才だった。
成績も優秀で剣技にも冴えていた。
そんな伊弦は両親の誇りだった。
クソ眼鏡も科学部に入るくらいには優秀で、八神家では私と結だけが異質な存在だった。
それは伊弦が目立つことで私達に目がいかないようにしてくれていたから。
私と結は伊弦に守られていた。
家に縛られず自由に生きられるように、伊弦は私達の実力や魘魔を感知する力を周囲から隠した。
親からも周りの大人達からも...
そんな伊弦も獏さんにだけは心を許していた。
獏さんの道場に密かに行かせてくれた。
そこで私達は幹部のみんなに出会った。
今の私達があるのは全て伊弦のお陰だ。
だが、その伊弦も3年前に命を落とした。
「帰って来てから姿見てへんと思てたけど、あの伊弦くんが...」
「うん、結を助けるためにね」
ナイトメアの記憶操作によって暴走した結の魘魔。
結の精神が不安定になっていたのは私のせいでもあるのだ。
忘れもしない2月15日...




