髪
「ええところに!香織は髪短うしても似合うてるて話しててんけど、宗くんはどう思う?」
本当に今までその話をしてたかのように宗に話を振る真白。
「僕も似合ってると思う。朔夜なんか見た時固まってたもんねー」
「え、そうなん?」
上手く誘導してくれている。
真白もノリノリで朔夜を見ながらニヤニヤしている。
「あ、いや...それは、」
「?」
朔夜がこっちを見たかと思ったら、一瞬で目を逸らされた。
そんなに似合ってない...かな?
「違う、似合いすぎて顔見れないんだよ...」
「え、?」
朔夜の顔が茹で蛸のように赤くなった。
何も言ってこないから似合ってないのかと思ってた。
なんか嬉しい。
「香織も罪な女やな。いろんな男の心を奪うてくんやから」
「意味わかんない」
誰の心も奪った覚えはない。
「そんなことより、まだ真白と話あるから3人は先に戻ってて」
「「「......」」」
不服そうに3人は出て行った。
真白と2人になり、幹部会議での話を伝える。
「...ってことで、体験期間中は真白に夜間の指示を出してほしい」
「ん、任せとき」
話が終わると2人で幹部室へ戻った。
この3年間で起きたことを真白は知らない。
全て八神家が隠してるからだ。
夜になり、勤務時間が近づいてきた。
みんなで揃って幹部室を出た上に、真白がいるので支部内に人だかりができる。
幹部が人気なのは特攻部の士気に関わるのでいいことだ。
しかし、ここまで集まられては先に進めない。
「お先ー」
「おい待て!」
叶人に止められたが宙に浮き、人だかりを脱出して情報室へ行く。
「よっと、どう?」
巨大な画面に流れる情報を見ている人に声を掛ける。
度々私達の話に登場している、情報班の橘百合
「今のところ問題なし。レーダーよりも早く感知できるのになんで毎日聞いてくるの?」
「伊弦がしてたからー」
頷いて納得した顔をした百合。
情報班以外の隊員が押し寄せてこないので、ここは安息の地だ。
「あいつ帰ってくるんだって?」
「真白ならもう帰ってきてるよ」
「は?」
こういう時の百合は表情が豊かだ。
百合が真白を嫌がるのには理由がある。
百合に対するアプローチがすごいからだ。
「最っ悪!今すぐ帰りたい」
「え、僕に会いたいて言うた?」
噂をすれば、真白が情報室にやって来た。
「言ってない。早く仕事行けば?」
「いけずやなぁ。百合ちゃんの顔も見れたことやし、仕事頑張ってくるわ」
すぐに出て行ったから、本当に百合の顔を見に来ただけだったようだ。
「全く...」
百合が口では嫌そうに言っているが、満更でもない顔をしていたのは真白には秘密にしておこう。
今日はいつもより出動回数が多かった。
しかし、真白がいたので私がもう1人いるようなもので滞りなく仕事ができた。
「真白は明日休んで。疲れてるでしょ?」
「おおきに。ほな、休ませてもらうわ」
報告会前で2人しかいない静かな空間。
「...私、真白に言わないといけないことがある」
「なんや告白か?かんにんな、僕には...」
黙って見つめているとなにかを察したようだ。
「明日1400には起きてるはずやから」
「分かった」
真白にも話さないといけない、この3年の変化を。




