来訪者×2
「どこから聞いてたの?」
「最初から。扉が少し開いてて聞こえた」
「そう...」
防音の部屋とはいえ、迂闊だったか。
「眠っとる...?意味わからへん」
「精神が不安定になって暴走したのが3年前。それから目を覚さない」
結のことは叶人が代わりに答えてくれている。
朔夜が目の前のデスクにドンッと手をついた。
「なんで言わなかった?」
「極秘任務だって言ったでしょ?あとは私の独断」
2人には仲間を疑いながら仕事をして欲しくなかったという思いが大きい。
「俺達そんなに信用ない?」
「......」
「それはちゃうやろ。信用しとるから逆に言われへんかったんや」
真白は昔から気持ち悪いくらい人の心を見透かしてくる。
変わってなくて安心した。
「ある日、みんなの記憶の中に知らない人が存在してた」
昔から一緒にいるのが当たり前かのようにそこにいた。
みんなと一緒にいたのは私のはずなのに、私にはない記憶。
「私だけが取り残されてるみたいで、怖かった」
だから、ずっと周りに合わせて当たり前を演じてきた。
「1人で抱え込んで...相変わらず香織はアホやな」
真白に頭を撫でられ抱きしめられる。
帰ってきてくれてよかった...
『香織、髪短いのも似合うてるよ』
と耳元で囁かれる。
「...ありがとう」
悔しいけど嬉しい。
誰も似合ってるなんて言ってくれなかったから。
「真白でもそれはダメ」
「いいとこやったのに...」
朔夜によって引き剥がされた真白。
「それより、これから」
コンコンコン
突然、扉がノックされた。
3人と顔を見合わせて「どうぞ」と答えた。
「遅いけど大丈夫ー?」
扉を開けて入ってきたのは宗だった。




