弟子入り?
「俺、中邑歩夢。一緒に回ろうぜ」
「いいわ、あなた何も知らないものね。西宮莉子よ」
今まで隣で解説してくれていた西宮と握手を交わした。
「よし、取り敢えず行くぞ!」
「え、ちょっとどこ行くの⁉︎」
俺の目当ては決まっている。
最強になるには、最強から教わるのが最短距離だろ!
「待ってくれ!」
会場を出て、人気のない通路を歩く3人の背中に叫んだ。
八神さんが振り返る前に如月叶人と第二師団長が前に出てきた。
「名前と用件は?」
「誰に話しかけてるか分かってるのかな?」
どこから出てきたのか、2人から剣を突きつけられる。
「中邑歩夢、どこ行く...⁉︎」
後ろから来た西宮が今の状況を見て息を呑む音が聞こえる。
「中邑歩夢です。八神さんの弟子にしてください!」
「⁉︎」
「「「は?」」」
驚いた顔の八神さんとその他3人の拍子抜けた声。
「ねえ私、抜刀許可してないけど?」
「「...」」
2人は黙って手を緩め、剣を鞘に納めた。
すると鞘ごとスッと消えてしまった。
「中邑くん、大丈夫?」
2人の間を抜けて俺の前に来てくれた八神さん。
「はい...」
壇上では凛としたイメージだったが近くで見ると印象が変わった。
美人と可愛いの中間のような綺麗な人。
「それで、なんで私の弟子になりたいの?」
「八神さんは特攻部のトップって聞いて、その人から学べば最強になれると思いました」
八神さんは少し考えて口を開いた。
「なるほど、その考えは一理あるね。けどごめん。私弟子取らないんだ」
コトワラレタ...
「それに私はそんなに強くないしね」
「え?」
八神さんが最強じゃない?
「私より強い人はたくさんいるよ?私の後ろにいる叶人と宗もそう」
八神さん越しに見ると、2人の存在が大きく感じた。
「それに君は入団したばかり。師団長達はそれぞれ別の意味で強い。最強になるのは強い人達の下で強い理由を学んでからでも遅くはないんじゃないかな?」
それぞれ強い理由...
「香織、そろそろ時間だ」
「はいはい。じゃあね中邑歩夢くん」
八神さんは微笑んで行ってしまった。
◇◇◇
「面白い子だったね」
「...なんで嘘をついた?」
叶人が少し不満気に香織ちゃんに聞いた。
「強さは一つじゃないでしょ?」
「あの子、気に入ったの?」
「うん。あの子達の所属先決めちゃった」
香織ちゃんは子どもが悪戯をした時のようにフフフと笑った。
「あの子達?」
「中邑くんと一緒にいた女の子♡」
隣にいた叶人の肩がピクリと反応した。
滅多に取り乱すことがないのに珍しいこともあるものだ。
「教育は任せたよ、2人とも」
「当たり前だ」
「はーい」




