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潜夢士  作者: 藤咲 乃々
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ある部屋

BAKUは悪夢と戦う組織である。


悪夢が有発する時間帯は人が眠りにつく夜中。

必然的に夜中に仕事し、朝方に家へ戻る昼夜逆転の生活となる。


元々、実家との縁も切っており寮生活の私。

寮には幹部達もいて、なかなかに楽しい。



仕事帰りにある部屋を訪ねる。

インターホンを鳴らすと明るい声が中から聞こえた。


「おかえり」

「ただいま。お邪魔します」

「どうぞー」

男は快く私を部屋へ招き入れた。


「もしかして起こした?」

「全然。寝るにはまだ早い」

お互いに体内時計が狂ってるのが幸いだ。


支部でシャワーを浴びてきたので、渡された部屋着に着替える。


「そういえば本部どうだった?」


「いつも通り報告して終わったかな。あ、元気にしてるか聞かれたよ」

「元気かどうかなんて、香織を見ればわかるのにな」

私の言い方も悪かったが、彼は勘違いをしている。


「私じゃなくて朔夜のことね?」

獏さんの公にされていない息子の正体は朔夜。

奥さんは朔夜を産んですぐに亡くなったと聞いている。


朔夜の存在を隠すため、当時奥さんの使用人をしていた四辻家の人間が自分の子どもとして育てていたのだ。


「会いたそうだったよ」

「ふーん」


朔夜は既にベッドに横になっていて、その隣に私も寝転ぶ。


「あー久しぶりだ」

「色々重なってたしな」


「明日も頑張らな…いと…」


夢に落ちていく。

誕生日だったからなのか、昔の記憶。


私にとっての悪夢。


《今日の夢はいつもより絶品だな。昼間に会った男が関係してるのか?》

死神の姿をした魘魔。


〈わかってるくせに。ていうか寝かせて〉

《じゃあな、眠れ》



目を開けると、見慣れた天井と重々しいカーテン。


起き上がり隣を見ると朔夜が横にいる。

寝顔が綺麗すぎて生きてるのか不安になるくらいだ。


朔夜の胸にそっと耳を当てた。

トクトクと規則正しく脈打つ音が聞こえる。


「生きてる...」

背中に手が回され抱き寄せられた。


「ん...おれ、いきてる?」

「うん、朔夜の生きてる音がする」

この音は落ち着くから好きだ。


一定のリズムで刻まれる心地いい音。

朔夜の体温も合わさって眠気が襲ってくる。


「1400か...まだ寝る?それともご飯食べ行く?」


何時に寝たっけ?

この部屋に来たのが0730過ぎてたから、約6時間は寝れたのか…


「...ご飯食べに行く」

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