命日に
◇◇◇
北小路が捕まり、ナイトメアは壊滅した。
女郎蜘蛛が封印されてから3年前の大厄災によって眠り続けた人達が目を覚ましていると聞いた。
中には中邑の妹も含まれていたようで、いい方向に進んでいるという。
結ちゃんも数ヶ月のリハビリを耐え抜き、歩けるまでになった。
失った命も、戻ってきた命も多い事件となり終わりを告げた。
「で、当の香織は?」
「結ちゃんの退院日なので病院に。この後、俺と叶人も加わってある場所に行きます」
解決できたは良いものの、3年もかかった分後処理に手を焼いた。
そして、今日はその報告を兼ねて総司令官室にいる。
「どうだ、特攻部は相変わらず忙しいか?」
「そうだね。でもみんながいるから楽しいよ」
父であり総司令官の獏良治。
親子という関係を隠しているため2人で話すことはほぼない。
「そうか。朔夜、お前と話しておきたいことがある。今日は先約があるみたいだからまたにしよう」
「分かったよ、親父」
そう言い残して総司令室を後にした。
「やっと来れた」
「2人揃っては初めてだね」
4人で訪れたのは伊弦くんが眠っているお墓。
叶人と俺はお参りして少し離れたところから2人を見ていた。
「叶人よかったな。3年間よく頑張ったよ」
「結のことか。自分でもそう思う」
昔から冷静すぎる男だ。
結ちゃんが目覚めた時に泣いていたのを見て、感情があって安心したのは言わないでおこう。
「そろそろ時間だな」
「お、本当だ。2人ともそろそろ行くよー」
「「はーい」」
八神伊弦の墓には命日になると1枚の写真が置かれる。
双子の妹とその仲間達の写真だ。
『世界一のお兄ちゃんへ』と言葉が添えられて...