表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
潜夢士  作者: 藤咲 乃々
116/121

武器の中枢

「あの鞭を作るには大量の魘魔が必要だった」

《ああ》

「魘魔を集めるために伊弦の血を使った...?」

《そうだ、あれの中枢からは兄の魘力を感じる》


死神は嘘をつかない。

気まぐれではあるが良いことも悪いことも、聞けば全て答えてくれる。


私が無意識にそうしたのか、胡蝶が操ったのか分からない。

いや、きっと胡蝶が操っていたのだろう。

気付けば固く握られた拳が北小路の頬を殴っていた。


北小路もまさか殴られるとは思っていなかったのだろう。

反応すらしていなかった。

倒れた北小路の胸ぐらを掴む。


「答えろ北小路。なぜ伊弦を殺した?」

「血だ、お前ら名家の血が必要だったんだよ。だから刺した!私の計画の妨げになるからついでに殺してやったわ!」


“私”?

北小路は自分のことを“私”なんて呼ばない。


《言っただろう、そやつは魘魔に操られている。女郎蜘蛛なんぞに乗っ取られるとは笑わせる》

「女郎蜘蛛...」

死神が笑っているのが気になるが女郎蜘蛛は間違いなく私の敵。


「死神の入り知恵ね。仲良しごっこは楽しい?」

なにも知らないくせに。

知らない人に私達のことを語る資格はない。

心を乱されるのが嫌で北小路から手を離した。


《小娘、心を乱されるな》

「...」

地面に尻餅を付いている北小路を無言で見下ろす。


《いいか、あれ自体は弱い。ただ心に入り込んで来やすく、魘力を得ると能力が厄介だ》

深呼吸を続けるうちに落ち着いてきて、死神の声がよく聞こえる。


《特殊な糸を使って人をも操る。他人の夢の中まで入り記憶の操作もすると聞いたことがある》

宗佑の情報通りだ。

みんなの記憶も結の暴走も、この魘魔が引き起こした。


「あなたの狙いなんてどうでもいい。私はあなたを倒す」


「この鞭があるのよ私は倒れないわ。そしてあなたの力をもらうのも私よ」

北小路の姿をした女郎蜘蛛はゆっくり立ち上がり、鞭を構えた。


「香織、隙を見て同時に攻撃だ。タイミングは香織に任せる」

朔夜が隣に来て小さく言った。


「分かった。鞭を弾きながら北小路に突っ込む。後ろから着いてきて」

「了解」

回復したとはいえ魘力を使いっぱなし。

2人の魘魔にも魘力を取られている。

いつ限界が来てもおかしくない。


「よし、行くよ」

鞭を弾きながら北小路目掛けて進み続ける。

鎌より短い分、日本刀は扱いやすいが鞭が近い。


胡蝶のおかげで手を伸ばせば刃が北小路に当たる距離になった。

すかさず刃を向けるが、スレスレで避けられる。


「チッ、来るな!」

北小路の手から鞭が離れ、手から糸が出た。


「朔夜!」

糸が絡まり鞭を見失った。


「香織、ここだ。頼む!」

声を頼りに目を向けると朔夜が鞭に剣を当てている。

黒い荊から元となった武器が現れた。


錆びのついたナイフ。

付着しているのは恐らく伊弦の血。


「胡蝶、許せ」

両手で日本刀を持ち、ナイフに向かって振り下ろした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ