表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
潜夢士  作者: 藤咲 乃々
11/121

同じ顔

本部の隣には併設されている病院がある。


BAKUの隊員やその家族も診てくれる化野病院。

その廊下を1人で歩く。


最上階の一番奥にある病室に私とよく似た顔の少女が静かに眠っている。


「結、」

名前を呼んだところで彼女が反応することはない。


「早く起きなさいよ...」

私の言葉だけが病室に虚しく響いた。



「来、てたのか」


扉が開いたのにも気づかず、私は結を見つめていた。

入り口に立つクソな眼鏡が私達を見ている。


「なんでいるの?職務放棄?」

「休みをもらった」

「あっそ...」


「誕生日おめでとう...香織、結」

最悪だ。

よりによってこいつに最初に祝われた。


「今更兄貴ヅラしないで。私も結もあんたのことを兄と思ったことは一度もない。私達の兄は伊弦だけ」


淡々と棘のある言葉を吐く。

罪悪感も湧くことを知らない。


「私が司令官になった途端、手のひら返し?ほんとクソだよね」

「そんなつもりじゃ...」


「じゃあ、あんたは私達に何をしてくれた?」


「......」

言える訳ない。

何もしてこなかったんだから。


「今すぐここから出て行って。もう私達に近づかないで」

クソ眼鏡は病室から出ていった。



広くて殺風景な病室。

窓際に置かれた花瓶だけが異物に見える。


「結はお祝いしてもらったのか...よかった」

最悪な思いをするのは私だけでいい。


「また来るね」

私も病室から出て特攻支部へ向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ