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潜夢士  作者: 藤咲 乃々
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回復

「もう取ってるじゃん...」

さっきまで掠れた声で話すのもやっとなくらいだった結は、私と手を握ってから目に見えて元気になっている。


「自分から貰うのと送ってもらうのでは全然違うんだよ」

訳の分からない理論を話された後、相変わらず底なしの魘力だねと言われた。


「助けたい人のところに連れてって」

「分かった」

約2年半眠り続けたのにベッドから起き上がり、車椅子に乗れるまでに回復している結。


「かおちゃんと行ってくるね」

着いてこようとする人達...主に叶人を止めて2人で救急外来に向かう。


「叶人はいつ来たの?」

「起きた時に目の前にいたの。まさか3年も経ってるなんてね」


さぞ驚いただろう。

私も眠っている間に1週間経っていた時には驚いて夢かと思ったくらいだ。

命は助かったとはいえ、眠ったまま経過した3年はあまりに大き過ぎる代償。


「眠ってる間に夢は見てたの?」

「ううん。ずっと白い世界で月詠と過ごしてた」

月詠とは結の契約している魘魔。

結が回復したのも、こうして私達が宗佑のところへ向かっているのも月詠が関係している。


「私暴走しちゃったんでしょ?」


叶人が話したのか?

まさか伊弦のことも...


「誰に聞いたの?」

「月詠からだよ」

叶人が言う訳ない。

一瞬でも疑った私が馬鹿だった。


「そう...」

そんな会話をしているうちに救急外来へ着いた。


「すいません、こちらは関係者以外立ち入り禁止です」

入ろうとすると看護師に止められた。

宗佑の側に触れなければ治すことはできない。


「彼女達を通してあげなさい」

どうにかして通る方法はないかと考えていると後ろから声がした。


「五十嵐先生!よろしいんですか?」


「さっき入院してきた患者の関係者だから私が許可しよう。結くん、目が覚めてよかった」

「「ありがとうございます」」

結を担当してくれた先生が偶然通りかかってくれたお陰で宗佑の元にすんなり入ることができた。


手術によって弾丸は摘出されたとさっきの看護師が説明してくれた。

看護師がいなくなると周りから見えないようにカーテンを閉める。


「この人がかおちゃん達の助けたい人...」

「どう?」

「それはかおちゃんと月詠次第だね」

結は左手で宗介の手を握り、反対の手で私の手を握った。


魘力を結の手に送り出すように動かす。

奇跡でもなんでもいい、宗佑が死ななければ。

だから今は結と月詠を信じるしかない。

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