極秘任務
獏さんに勧められてソファに座る。
「香織を司令官に指名したのは私だが、お前もいろんな意味で大変だな...」
恐らく機本のことを言っているのだろう。
「獏さんの頃ほどではないですよ。今は師団長達がしっかりしてくれてるので、かなり助かってます」
そろそろ本題に入ろうか。
「この前の出動で3人がレベル3を感知しましたが、レベル4が出ました」
「ほう」
「それと新人が潜夢中に夢現者以外の人間を目撃したらしく、ナイトメアが関わっている可能性が高いかと」
ナイトメアについて調べるのが獏さんからの極秘任務。
「やはり組織内にスパイがいるか...」
「そのようですね。大体の目星は付いていますが...証拠が揃ってません。あと、機本が潜夢していたことも気になります」
組織内のスパイ探しは私だけが行なっている任務で、叶人や朔夜にも話していない。
「すまないな、嫌な仕事を押し付けて」
「いえ、結のためでもあるので」
獏さんが頼んでくれた食事が届き、食べながらも話を続ける。
「あいつは元気か?」
「元気ですよ。たまにはご自分で確認したらどうです?」
「...考えておこう」
獏家はBAKUを発足したこの世界において有名な家系。
有名すぎるあまり命を狙われるのはよくある話だ。
獏さんにも息子がいるが公にはされておらず、名前も顔も存在自体明かされていない。
この話を知っているのは私を含め限られた人数。
「素直じゃないですね。お互いに」
「それは私と君という意味でいいのかな?」
「ご想像にお任せします」
“あんたなんか○○○○○!”
どれだけ後悔しても、願ったとしても過去に戻ることはできないのだ。
「ごちそうさまでした、そろそろ戻ります」
「ん、みんなにもよろしく言っといてくれ」
「分かりました」
総司令官室を後にした。