巫女 早瀬 回顧録
サーモン イズ バック。
いつもと変わらない日々、伝統、歴史。私の産まれた時代は少し波瀾に満ちていたけど、とても賑やかで毎日が輝いていた。
これは私の幼かった頃のお話。まだ恋も愛も、よく分かっていなかったあの頃の……私の宝物。今も私を支えている大切な記憶。
初めて恋をして……振られて……それでも側に居たくて……がむしゃらだったあの頃の私の……くすぐったいような切ないような……でも大切な宝物。私が私である為に……私が今の私に自信を持てるようになった大事な記憶。
いつもあの人を見てた。あの人さえ側に居てくれたら他に何もいらなかった。それくらい……大好きだった。
あの人の声、優しくて暖かみのある柔らかい声で名前を呼ばれるのが好きだった。大きくてゴツゴツしているのに私よりも遥かに器用な手で髪を触ってもらうのが好きだった。
あの人の全てが……大好きだった。
……だから……私は……たとえ世界や神様が相手でも決して引かない。あの人を必ず取り戻す。あの優しくて照れ屋ですぐに赤くなるあなたを。
この命、私の存在全てを懸けてでも必ずあなたを取り戻してみせる。
◇
始まりはあの暑い日。私が巫女見習いとして正式に社に参内した年。私の全てが変わり始めた忘れられない日。そして初めてあんなに人を好きになった……運命の人と出会った忘れられない日。
私は忘れない。忘れられない。突然、足を血まみれにした人間の男の子が里にやって来た時の事を。後で話を聞いたら三日も寝ずに走り続けて里まで来たと言うではないですか。
馬鹿ですよね。馬鹿すぎますよね。せめて休みながら来れば良いものを意地だけで三日三晩走り抜いたとか。
本当に馬鹿だと思います。
弱い存在なのに一歩も退かなくて。里で暮らすようになっても意地っぱりなのは全然変わらなくて。いつも問題ばっかり起こしてた。あの見た目だから里のみんなからは子供扱いされるのが普通で。それがあの人を更に激昂させて……いつもぷりぷりして可愛かったあの頃。
私もお姉さんになった気分だった。里の女衆も骨抜きにされて、可愛いがりがすごくて。本人はそんな扱いに、いつも「解せぬぅ!」とぼやいていたっけ。
綺麗な朝焼けの色の髪を撫でるのが好きだった。恥ずかしそうに俯くあの人は、いつも私を癒してくれた。巫女として厳しい修行の日々もあの人が居たからちっとも大変なんて思わなかった。
……いつのまにか、あの人が先生として教鞭を振るう事になるとは思わなかったけれど。
当時の私は良く分かっていなかった。今なら……大人になった今なら私にも分かる。あの人は自分の持てるものを全て惜しみ無く与えてくれたんだって。
私には、あれが普通だったから。それがどんなに異常なのか分からなかった。
……私が普通の巫女だったらもっと一緒に居れたのに。
……ばか。
……どれだけ感謝しても足りないんだよ。あなたのお陰で里は……他の里の人も、多くの人が助かったんだよ。あなたは全然気にしてないだろうけど。
だから……ううん。違うね。感謝でも尊敬でもなくて……純粋に私はあなたに惹かれていた。意地っ張りで、子供っぽくて、おませで照れ屋の素敵な男の子。もう男の子なんて言えないね。私よりも大きくなったあなたはとても素敵な男性になってしまったから。
でも私の中のあなたはいつも……小さい体であちこち飛び回って落ち着きのない、あの頃のまま。
今も私は夢に見るの。
あなたと出会ったあの日のことを。
……私が血まみれのあなたを見て卒倒した、あの日の惨劇をちょくちょくと。
人物紹介入ります。
早瀬 一章の主人公
鬼の里の巫女。千早ではなくてアオザイみたいな衣服を着ている白髪ロン毛の鬼っ子。
次郎丸 物語全体の主人公
輪廻カンカンの2では美少女のようなショタだった。輪廻カンカン2の終了時、十五才だったが、見た目は十才程度。妻だった天使の呪いで成長を止められており、その妻とは離婚している。輪廻カンカン2では離婚からのスタートでハーレムを持ち帰って物語がエンドした。
有り体に言うとクズ。
輪廻カンカン2のラストでハーレムを作り上げ、多くの女性をメロメロにする。
なんかもう力一杯で駄目な感じだが、無理矢理妊娠させた女性が二人。これは種族的なアレなので犯罪ではないが、倫理的にどうなんだろうね?
本人は色々と葛藤したらしいが、最終的にハーレムを受け入れて『みんな幸せにしてやんよ!』と決意したが、母親の毒によってハーレムを奪い取られる。
そして傷心のショタは旅に出た。ここから輪廻カンカンの3が始まる。
基本的に輪廻カンカン2をベースにしてますが、そこまで重要でもないので前作は無視して大丈夫です。というか設定がアホだなぁと今読み返して思います。もっと単純で良かったのに。