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車内

 彼女は銃身をじっと見つめていた。

「私はもともと戦闘向きなんかじゃない。非戦闘員で、成す術なく敵に虐殺される弱者のはずだ。でも、その特性から最前線でこうやって無茶ぶりされる。

 どのみち死なないってだけだ。無力化は容易。体格的にもちろん近接は不利、これがなければ偵察がやっとだろう。」

 彼女は噂に聞くような化け物ではなかった。内面は見た目通りで、戦闘員にはふさわしくないとすら言える。

 それでも、彼女は常に先頭に立ち、敵を蹂躙してきた。彼女は常に、その時代遅れの愛銃と共に敵を駆逐してきたのだという。不死者である、という言葉がすべてではないことは確かである。

 彼女の銃は博物館にあったっていいという程の代物だ。後装式ではあるものの、それについては改造によるものである。べーすtとなる銃は前装式としてつくられ、配備されたものだ。

 速射はできず、携帯するには大きすぎる。小柄な彼女が持ち歩くべき武器ではない。

 それでも、その時代遅れの武器と共に戦場を駆けまわってきたのだという。あるいは、魔女という存在を象徴するかのようにも感じられる。現代戦に不適合の旧式の火器、それを扱うには不適合な華奢な肉体。それをもって敵を蹂躙する。その非常識極まりない態度こそが彼女が魔女と言われ続ける所以なのかもしれない。

「じゃ、どう考えてもこんな場面に合っていない私が、ずっとそんなところにいるのはなんでだと思う?」

 突然の問いに言葉が詰まる。

「義務感、でしょうか。」

「君たちらしい考えだ。それも一つ、確かにあるだろう。だけど決定打ではない。

 ああいや、すまない。別にどうでもいい話だ。」

 彼女はよく、こうして自ら振った話を打ち切る。それは決まって彼女自身に関する話で、自らのことを語りたくないかのようである。

「では私から質問させてください。

 なぜ戦い続けるのですか。」

「君もずいぶんと慣れてきたということか。わかった。聞かれたことには答えないとね。

 一言で済ましてしまえば色恋だ。好いた相手を追っている。この銃だってその形見だ。わざわざ、私を庇って死んだんだ。

 彼が戦場で死んだ以上、私も戦場で死にたい。一途というか、しつこいというか、愚直というか。単純でわかりやすい理由だ。どのみちみんな似たようなものってわけだ。だから私は特別でもないし、君たちが私に劣る理由もない。」

「わかってますよそんなこと」

 運転席から野太い声が聞こえた。

「そうですよ、あまり我々を下に見ないでくださいよ。」

「てめーは俺たちからしてもガキだがな!」

 そのやり取りを見て彼女は笑っていた。釣られてみんなも笑いだす。彼女は魔女と呼ぶにはあまりにも可憐である。

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