ぼやき
生存のための最適化、その王道は何者にも負けぬほどに強大な力を有するものだ。だが、それはたった一つの存在にのみ許された地位であるし、それ以外の全てにとっては辿ろうとすれば消される、自殺行為となる。
多くの種が存在し、完全に支配的な存在のいない現状はどこかでそれを妥協し、利害で調整されているんだ。敵の存在を互いに認めることで安全を保証する。何かをもって対等な地位に立ち、共倒れを避けるために手を取り合う。
それでうまく行っていたはずだったが、誰かが恐怖を覚えたんだ。一対一では対等でも、群れてしまわれてはわからない。あるいは、正確には対等ではないが割に合わないからという理由だけで生かされている。他者を恐れた、疑った。
その者は力を欲した。普通はそうなれば、やはり全体として群れてそれを叩くんだ。出る杭をってやつだな。だがそうならなかった。
細かいことは私は知らないが、見事に蹂躙してすべてを支配してみせた。そうなると弱者ってのはただ蹂躙される。
それでも生命体は存在の存続のためにある。そんな最悪な環境にも適応して見せる。
奪われるのは当たり前、対処できない決定事項だ。ならばそこでくたばらなければいい。どれだけ傷ついても存在が存続すれば継続できる。
嫌なもんだ。痛みに慣れるなんてことはないんだ。傷つく度に痛む。だが死なない。やがて失った手足も元に戻るとやはり襲われる。また痛みが襲う。力任せに引きちぎられる。そのくせ、腕なんかは細っちくてうまくもないのか千切ったら捨てるだけだ。動かされるとやかましいってだけなんだろう。胸やその上もやはり骨が邪魔なようで食べようとはしてこない。腸を食い散らかされておしまいだ。
去る頃には痛みが理解できなくなっている。それで、体組織を再生させるために自らもまた食料を求めるんだ。消化器官が大きく損傷しているというのにどういう仕組みであるのかは不明だ。そこまで丁寧に多細胞生物としてつくられていないのではとは思う。細かいことはともかく、ウズムシの如く再生はされる。
あいつらも衰弱死されては食糧に困るからか、再生しきって回復するまで、しばらくは放っておいてくれる。暦もなんも確認する術なんかないからしばらくだ。数カ月かもしれないし、数年かもしれない。老化も成長も機能していないようだから感覚的に時間の流れががわからないんだ。ただ、そういう地獄は何十年という期間で進んだのだろう。
そんな弱者だった私が不死者と魔女と恐れられる側に回っているんだ。愉快な話だろう。




