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7話 むっつりビ○チは狙い目よ。

 あー、やっぱ弱い者いじめすんのって気分わりーな。だが、連中にゃ必要な事だ。

 ヨハンにがっつり怒られちまったが、勇者学園のクソガキ共に必要なのは、正しい挫折だ。


 超えるべき大きな壁にぶち当たり、自分の力を見直す挫折。それを経験するのとしないのじゃ、将来に大きく響く。


 心が折れても問題ねぇよ、どん底まで落ちたら後は上がるだけ。十代の失敗はいくらでもやり直せるんだからな。


 だから、十代学生の読者諸君。もし壁にぶち当たっていても気にすんな、社会に出れば学歴なんざクソみてーなもんよ。てめーに生きる気があれば、大抵どーにかなるもんさ。


「教師にもヘイト役ってのは、必要だろーがよ」


 損な役回りなんざ慣れっこだ。ヨハンも言ってたよな、この学園には壁がねぇって。

 だったら、俺が壁になってやるよ。クビになるその時まで、この学園一の不良教師として好き勝手振舞ってやるさ。


 んじゃま、仕事戻るかぁ。次が今日最後の授業、俺の受け持ちクラスの魔界学だ。


「おらーてめーら席につけー(棒)」


 やる気でねーなー……どーせこいつら、Aクラスにせっつかれてやる気をなくした、ガッツのねー連中だしよ。


 さっきも徹底的にぶちのめしてやったから、ぜってー軽蔑されてるだろーし。

 はぁ……やる気のねー連中相手する程嫌な事ぁねぇなぁ。


「な、なぁ、あんた……すげぇ、強かったんだな……」

「あん? んだよディジェ、初対面で俺に言った事でも気にしてんのか? 俺ぁ別に気にしてねぇよ、ガキの泣き言なんざ風鈴みてーなもんだ」


 そういやこいつ、倒しても倒しても立ち向かってきたな。ネロよかガッツがあったから、嬉しくてつい殴りすぎちまったっけ♪


 あ、勿論ぶちのめした後、全員回復魔法で治してやったからあしからず。


「ってか、んだよ。俺様をじっと見やがって。気色わりーな」

「……俺、ずっと大人って、弱い奴しかいないんだと、思ってた。強い奴の言いなりになって、俺達落ちこぼれを、こぞって見下す奴しか、居ないんだって。親父も、仕事ばっかりで、俺の事、ろくに見てくれないし」


 ……ヨハン、てめー俺に説教する資格ねーぞ。


「さっきの授業、生徒会長を倒すために、やったんだろ? レヴィが、言ってた。恐喝された自分を、助けてくれたって。それにあんた……俺達より、滅茶苦茶強いし……」


「強いのはとーぜんだろ、俺様だからな。それによ、俺ぁ現場に居ながら見て見ぬ振りしたんだよ。そんな奴がクソガキ共を助けるわきゃねーっての」


「それでも! ちゃんと俺達を、守ってくれた事に、変わりない、よな?」

「何を言いてぇんだ、結論を言えマ○○ァ○カ」


「……俺達と、本気で向き合おうとしてくれて、その……ありがとう。クラス委員長として、礼を言うよ」


 前置きなげーんだよ、最初からそれでいいだろが。


 それに俺はてめぇらを守ったんじゃねぇ、つかボコられて態度和らげるとか、てめーらマゾか? 俺はサドだぞ、ドSだぞ。それ以上気色悪い事言ったら金取るかんなコラ。


 ……ま、実際にはディジェ個人の礼だろうがな。


 他の生徒連中は俺に対しびくついてやがる、ディジェの言葉に共感している奴なんざいねぇなこりゃ。好感度はまぁ、ゼロって所だろう。


 だがそれでいい、あの馬鹿どもみてぇに懐かれるよか気が楽だ。


「てめぇの無駄話のせいで時間減っただろうが、とっとと授業終わらせるぞ。そんじゃ教科書閉じろ。てか今すぐ捨てろ」


『えっ?』


「こんなカビくせぇ骨とう品は、ケツ拭く紙にもなりゃしねーよ。いいから捨てろ」


 一応教科書読んでみたが、こりゃだめだ。魔界に関して極一部しか記載してねぇ、俺に言わせりゃインクの染みだぜ。


 人間界と魔界じゃ、時間の流れが大きく違う。こっちがくだらねぇ授業している間に、向こうは何百年と時が過ぎてんだ。


 超光速アップデートを重ねる魔界に、教科書通りの授業は通じねぇ。わりぃが俺流にやらせてもらうわ。


「立ったままってのも疲れるな、ちょっと座るぜ」

「え、教壇に座って……せ、先生、こ、黒板とか、か、書かないんですか?」


「レヴィ、俺はお前らに知識を話すのが仕事。お前らはそれを書き留めるのが仕事。OK?」


 ぶっちゃけ板書なんざめんどっちくてやってらんねーよ、効率悪いわ。


「いいか、魔界ってのは無数のエリアに分かれていてな、それぞれのエリア毎に魔王が君臨しているんだ。でもってエリアによって魔物の種類や対処も違ってな」


 とりあえず、俺が魔界で見聞きした全部を伝えてやるか。


 魔物の殺し方に、魔王の特徴、魔界の動植物。教科書には載ってないもんばっかだぜ、しっかり勉強しやがれクソガキ共。


 ま、しかしなんだ。思いのほかきちんと授業聞いてくれるじゃねーの。

 人間界にも魔獣が出つつある、ここで得た知識は無駄にはならねーよ。多分な。


  ◇◇◇


「はー……今日のお仕事終わりっと」


 もう夕方だぜ、やっぱ仕事は定時上がりに限るわ。

 他の教師共は変に仕事残してやがるから、お可哀そうに残業中だ。なんで簡単なデスクワークが出来ないのかねぇ、凡才ってのは罪だぜ。


 その点俺様は天才だからな、さっさと仕事片付けて定時上がりよ。いやぁ、時々自分の能力が恐くなる!


「さーて、どっかでビールでも引っかけるか」


 仕事終わりにゃビールと相場が決まってる。それにチョリソーなんかを合わせりゃVery Good! イメージするだけで涎が出るぜ。


 前にも話したが、ベルリックにゃいい酒が集まる。それはつまり、飯屋のレベルも高くなるって事なんだ。

 どこで飲むか考えるだけで俺ちゃん、ご機嫌ゲンちゃん。ついついスキップランランラン、ってな。


「きょーおの飯屋は……おっ、ソーセージセット、安いぜ! ここだっ」


 俺様の勘が言っている、ここはヤミーな店だってよ! 突撃!


「男一名! カウンター席で頼むぜウエイターちゃん!」

「は、はいっ! って、あ、あれ、先生?」

「は、先生? って、レヴィじゃねーか」


 おいおい未成年がバイトか? いいじゃねーの、バイトするとかガッツあんなてめー。

 自分で金稼ごうって気構えは俺、嫌いじゃねぇよ。


「ここで働いてるのか? へへ、弱虫かと思ったが、意外と根性見せてんな。気に入ったぜ」

「い、いえ……ここ、実家です」


 実家? つまり、ホーム? 何お前、学生寮じゃなくて実家組なのかよ。


「ま、どーでもいっか。ソーセージセット頼むぜ」

「う、承りました。あ、あの先生、そ、その……」


 お前な、なんでそうどもっちまうんだ? そんなんだから馬鹿に狙われるんだよ。


 慰めてほしいんなら、他を当たりな。俺ぁ二十歳未満は抱かねぇ主義だ、五年後に出直してこいよ、お嬢ちゃん。


「んだよ、用があんならとっとと言いやがれ」

「そ、その……うちば助けてくれて、いりのっちうやね! 学校でお礼、言いしょびれてたとたいから!」


 Wow、なんつーカントリーな話し方。


「方言か。お前、どこの出身だ?」

「ひゃっ!? こ、これは、ち、違うんです! わ、私、私……!」


「どもっちまうのは鈍りを誤魔化そうとしてたからか。いいから方言で話せ、標準語でどもられた方がイライラする」


「……先生な、うちん方言、笑わんけんと?」

「うざってぇな、お望みなら高笑いしてやるぞ? てめー、クラスで孤立していたようだが、何となく話が見えたぜ。その鈍りをクラスの連中にからかわれて友達出来なくなった口か」


「そーなしけんしゅ……うち、南ん方ん出身なんっちゃけど、方言の変に聞こえるのごたぁで。頑張っち口調ば直してはいるんたいばってん、どげんもまだ慣れてなくて……」


 方言程度で笑うたぁ、クソガキらしい感性だな。ローカルな個性、俺は嫌いじゃないぜ。


「それで馬鹿に目を付けられてたら元も子もねーぜ。別に勇者になるのに方言なんざ関係ねーだろ? 勇者の世界は強い奴が正義だ、笑う奴が居たらぶちのめしゃいいんだよ」


「そげな乱暴な事できまっしぇんか! そいに、ゆ、勇者はしゃばか人ば助ける人たい、無闇な暴力ばしちゃいけまっしぇん!」


「……へぇ、ちゃんと理解しているじゃねぇか。だがよ、そうまでして勇者を目指す理由はなんだ。勇者ってのはテメェみてぇな綺麗事ぬかしてやれるもんじゃねぇ、弱虫嬢ちゃんには荷が重い。夢を目指すための覚悟ってのは、あんだろうな?」


「……お父しゃんっち、お母しゃんんためたい。うちん家は貧乏で、仕事ば求めてこん街に来よるんたい。ばってんこん店もギリギリで成り立っちて……」


 要は、親楽にさせるために勇者になりてぇってか? はっ、くだらねぇ理由だぜ。


「勇者になっち有名になれば、じぇにのうんとこ入るけん。うちは家族ば助けるために、勇者になろうっち決心したばいんたい!」

「の割りには人間のガキ相手に食い物にされる雑魚じゃねぇか。てめぇを守る力もねぇ癖に家族を助けるだぁ? 世間知らずのガキがおめでたい夢見てんじゃねぇよ」


「うっ……こればってん地元でな、いっちゃん強かボウズやったんたい。ばってんやっぱり、世界は広いんやね……うっ……うっ……」


 いちいち泣くな、ったくうぜぇ奴。ちょっと自分より強い奴が居る程度でめそめそすんじゃねぇよ弱虫が。


「てめぇ、得物はなんだ?」

「? トンファーたい。地元ん伝統武術ば修めてて」


 あっそ。ならこのでかい石でもくれてやるか。


「こいつを寝る前に十回、放って掴め。握りにくい重いモンを掴む練習してりゃ、まぁ一週間もすりゃ握力強くなるんじゃね? トンファーなんてもんは握力あってなんぼだからな」


 すっかり気分もしらけちまった、歓楽街の娼館にでもいくかね。

 てめぇにはチップ置いてくから黙ってろ、クソが。


「700ゴール……! こげん、チップば? 受け取れましぇんちゃ、こぎゃん」

「いらねぇなら家にでも入れろ、俺ぁこれからチャンネー買いに行く、邪魔すんな」

「ちゃんねー?」

「こっから先はR指定って奴だ。男の前で裸を晒し、爛れた愛を囁かれた事はあるかい? お嬢ちゃん」

「いっ!? 先生、卑猥たい!」

「人並み以上に興味はあるらしいな。男覚えて沼にはまんなよ、むっつりビ○チ」


 あーいうのに限ってエロいんだぜ? 男子の読者諸君、むっつりビ○チは狙い目だ。

 さーて、俺様は真性ビ○チともっこりさせてもらいまShow! 待っててちょーだい花魁ちゃーん!

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