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26話 お遊戯会。

「ふぅ、いい感じだなてめぇ。久しぶりにゾクゾクしてくるぜ」

「ここまで俺と師匠を抑え込まれるのは、魔王戦以来かな。大した腕前だ」

『お褒めに預かり、光栄だ』


 俺とカインの連携を、UAは見事に受け止めてやがった。

 剣と籠手、そして弓。遠近中全てをカバーする武器の数々を見事に使いこなしている。まぁ当然、俺様の魔具が高性能ってのもあるだろうが。いやー我ながら自分の才能が恐いねぇ。


 とはいえ、あんまし楽しい時間を過ごすってのもよくねぇよな。

 本音を言えば、もっとUAとバトっていたいぜ。だが、ベルリックじゃヨハンとコハクがぴーぴー喚きながら待ってんだ。特にコハクは旦那が返ってくるか不安だろうし。


「ぼちぼち俺ちゃん、マジモードに入ってみるか」

『なんと、今まで本気じゃなかったのか?』

「そりゃ、本気出したらすぐに終わっちまうじゃねぇか。久々の、脳が揺れるドッカンバトルをよ」


 こっから先は人間界じゃ初めて出す領域だ、さぁて、ついてこれるか? カイン、UA!

 一瞬でUAとの距離を詰める。速度的には、十メートルをコンマ0,001秒で潰した感じかな。


『むっ!』

「おせぇ!」


 喰らえやライジングインパクト! まぁタダの右アッパーなんだが、俺様のアッパーだぜ?

 振りぬいた反動で惑星全体が強振するに決まってんだろ!

 避けられたがまぁいい、左ジャブジャブジャブジャブジャーブ! 秒間5000発の乱れ打ちDie!


『うっ、おおおおっ!? な、これが、ジャブだと! くっ!』


 距離を取ってロキを構えたか。多量の魔力を込めた矢を番えてぇ、撃ってきた!


「けど()を受けるのはい()ーん、ってな」


 鼻先をかすめるように、華麗に避ける。この美しいマトリックスなイナバウアー、うーんマンダム。

 ついでに矢に乗っかって、空中をサーフィーン。一通り空中散歩を楽しんでから、UAに矢を返却っと。ま、剣で破壊されたがな。


「流石師匠、本気を出すと違いますね!」


 本気の俺についてくるてめぇも大概だぁよ、カイン。

 俺の上を飛び越えて、魔剣を華麗に繰り出す。俺に匹敵する速さだ、潜在能力だけなら、俺より上だなあいつは。


「来たれ、薄闇ニ潜ム刃(イマジンブレード)!」


 魔力で形成した薄青い剣が、ファンネルみてぇにカインの周囲に浮かび上がった。あいつの思考で動く武器だ、必中必倒の魔法だぜ。


「いけっ!」


 無数の剣が飛んでいく。これで終わっちまったかな?

 と思ってたら、UAの奴、全部剣で叩き落としやがった。


『これが人類の二強、カインとハワード。なんたる力、何たる脅威だ。特に、ハワード・ロック。やはりあの方の右腕を持つだけの事は、ある』

「あん? 誰だ、あの方ってよ」

『っと、口を滑らせたな……失敬』


 想像するに、てめぇが匿っている魔王の事を指してんのか?

 ……この右腕、ねぇ……。


『だが、貴様らの力は想像以上、ではない』

「へぇ? 強がり、って感じはしねぇな」

「なら、お手並み拝見といこうか」


 って事で二人掛かりで襲ってみたらだ。


 カインの魔剣を自分の剣で相殺して、俺の拳はランダで受け止める。押し負けるどころか、俺ら二人をまとめて押しのけやがった。

 んでもってロキを乱れ打ち。あまりの弾幕に俺らが後退しちまった。


 なぁるほど、てめぇも隠してやがったわけか。


「俺様達を一人で受けきるとはなぁ、もったいねぇ、なぁ……こんな、面白い奴をぶっ倒さなきゃならねぇとはな」

「口調のわりに凄い笑顔ですよ。殺人鬼のような、人殺しを楽しむような笑顔ですが」


 そりゃ、そうだろ。俺を心から楽しませてくれる奴は、久しぶりだからなぁ。

 興奮し過ぎて脳みそガンギマリだ! 勢い余って簡単に死んでくれるなよUA!


「……どっちが悪役かわかりゃしないな」


「はっはー! 俺の遊びに付き合ってくれよファムファタル!」

『そんな歳食った恋人は、勘弁だな』


 そっからはもう表現できねぇな。俺とカインの猛攻をUAが三種の武器を使い分け、必死こいて捌いていたよ。一時間くらいな。

 カインと共に強敵へ立ち向かう。俺にとっちゃ、至福のひと時だ。ずっと胸がときめいていて、童心に帰った気分だったよ。

 だがなぁ、楽しい時間ってのは、必ず終わりが来ちまうもんなんだ。


「おらぁっ!」

「せいやっ!」


 俺の拳がランダを砕き、カインの剣がロキを断ち切る。最後に残った剣も二人で破壊して、そのままガード諸共UAの心臓を貫いたんだ。


 致命傷だな。UAは大の字に倒れて、血反吐を吐いた。俺とカイン相手に、よく持った方だと思うぜ。


「終わったな、てめぇの負けだUA」

『その、ようだな……がふっ! ……ふっ、だが世界を救った、勇者パーティ最強の二人。手合わせできて、楽しかった』

「それはどうも。けど俺達はお前を楽しませるために、ここまで来たんじゃない。敗者なら、教えてもらうか。君が復活させようとしていた魔王は誰だ、どこに居る」


『ふふ……知りたければ、自分で探せばいい……ロキとランダ、二つはくれてやる。これで魔具も全て揃っただろう、それを使えば、あの方の場所も、分かるだろうさ』


 心臓ぶっ壊したのによー喋るな。ホントにこいつ、人間かよ。


『我に出来るのは、ここまでか……どうか、見つかるよりも早く、復活、を……』


 この一言を最後に、UAは息絶えやがった。魔王の眷属になってたせいか、体が砂になって消えちまう。人の死に方ではないな。

 ったく、手加減出来なかったとはいえ、惜しい奴をなくしちまったな。俺とカインについて来れる奴なんて、相当貴重だってのに。


「またつまんねぇ日々が続いちまうな」

「それが一番ですよ。さ、帰りましょう。コハク達が待っていますから」

「わーったよ。ロキとランダも持って帰るか」


 ともあれ、これで全部の魔具が戻ったな。いっぺん、帰っておくか。

 

◇◇◇


「カイン! よかった、生きて戻って来てくれて!」


 街に戻るなり、熱烈歓迎コハクのハグ。勿論、カイン専用だがな。

 街に押し寄せていた魔物は、綺麗に掃除されていた。どうもブレイズちゃんを旗にして、勇者・冒険者が懸命に戦ってくれたみたいだな。

 ついでに言うと、俺の馬鹿弟子どもも頑張っちゃってたみたいでよ。


「おうディジェ、レヴィ。聞いたぜ。ネロと共闘して魔物潰してたみてぇだな」

「先生! ああ、俺達もあんたに鍛えられているんだ」

「うち達も、三人なら魔物に立ち向かえましゅ。先生の魔界学も、ぶち役に立ちたとたい」


 軽い怪我しているようだが、大事はなさそうだな。やるときゃやる連中みてぇだぜ、Good。


「ふっ、まぁDクラスにしてはよくやった方じゃないですか。大賢者様の薫陶を無駄にしているようではないみたいですね」

「ネロ、協力してくれた友達にその言い草はないんじゃないか」


 反抗期真っ盛りの息子に親父、一言申すってか。それ、逆効果じゃねぇかな。


「突然現れて、大事な師匠と遊びに向かった人が、偉そうな口を利かないで欲しいですね。こちらは貴方が対応できない所をフォローしてあげたんですよ、他にないんですか。父上」

「街の人達を助けたのは、父として誇りに思う。だけど、仲間と友達を大事に出来ないのは、減点だ。ネロ」


 だー、違うだろうが馬鹿弟子。


 ヘカトンケイルの時、ディジェが見せただろうが。説教じゃなくてきちんと褒めるの。それやるだけで大分違うってのに、不器用すぎるなぁマジで。


 この親子の軋轢が治るのは、一体いつになる事やらなぁ。


「ま、まぁまぁ。それより、倒したんでしょ? UA」

「そだよブレイズちゃん。目の上のたんこぶは消え去った、あとは魔王だけさ」


 俺とカインの二人でぶっ潰したからな。魔王復活を目論む黒幕は、倒した。あとはその黒幕を動かしていた、魔王様を探して殺せばいい。よりシンプルな構図になったもんだ。


 これで事件の解決は目前、って思うだろ読者諸君。


 なーんか、釈然としねぇ所はあるんだよな。なんでUAは、こんな中途半端なタイミングで出てきやがったんだ? それも、カインと俺が揃っている時に。


 いくら腕に自信があったとしても、俺とカインのタッグに勝てるわけがねぇ。それが理解できない程、頭が悪い相手じゃねぇだろう。


 わざわざ自分から死にに行って、魔王様の手掛かりとなる魔具を渡してきた。おまけに、手掛かりになる言葉を多数残してと。行動が俺らに都合良すぎんだろ。


 ……ま、考えてもしゃあねぇわな。


 どんな裏があろうとも、どんな罠が隠れていようとも、関係ねぇ。なぜなら、ここには絶対無敵最強の賢者、ハワード様が居るんだ。それによ、多少ピンチになった方がスリルあって面白いじゃねぇか♪


 出たとこ勝負で、真正面から立ち向かう。アホっぽいが、簡単で楽だと思わねぇか。読者諸君。

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